暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第八十六話 竹中の献策その三
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「本願寺との戦になると」
「警戒はしておく」
 それは忘れないというのだった。
「若し本願寺が来れば迎え撃つぞ」
「畏まりました。それでは」
「その時は」
「その場合は三好を倒せてもじゃ」
 だがそれでもだというのだ。
「新たな戦になる」
「本願寺とですか」
「全面的な」
「そうじゃ。かなりの戦になる」
 信長の覚悟は固かった。それは顔にも出ている。
「今我等と本願寺が戦になればそれこそ泥沼になる」
「はい、間違いなくそうなるかと」
 竹中もだ。すぐに答えたのだった。
「その時は」
「本願寺にとっても損になる」
 こうも言う信長だった。
「顕如がそれを選ぶかのう」
「伝え聞くところですが」
 また竹中が答えてきた。
「本願寺の法主である顕如殿はかなりの人物です」
「伊達にあれだけの門徒を完全にまとめているだけではないな」
「確かに親鸞上人の血筋です」
 本願寺は他の寺とは違う。僧侶であっても妻帯が可能なのだ。これもその親鸞が定めたことだ。かなり異質な仏教の宗派ではあるのだ。
 だからだ。顕如は親鸞の血を引いているのである。そのことからだ。彼が本願寺と門徒を掌握できる立場にあるのだ。しかしだった。
 竹中は言うのだった。顕如という男について。
「しかしそれ以上にです」
「政の力があるのじゃな」
「そして知恵も」
「人をまとめることも見事じゃな」
「しかもその声一つで無数の門徒達を立ち上がらせるまでに。人を惹き付けます」
 ここまで話してだ。竹中はだ。
 自らの主を見据えてだ。こうも言ったのだった。
「おそらくですが」
「おそらく。何じゃ」
「殿に比肩する方かと」
「ほう、わしとか」
「私はそう感じています」
 軍師として鋭い目になって話す竹中だった。
「そして門徒と鉄砲もあります故」
「一筋縄ではいかんのう」
「おそらく殿、織田家にとって武田や上杉以上の敵になるかと」
 そこまでの相手だというのだ。本願寺、そして顕如はだ。
「ですから今はです」
「ぶつかることは避けるか、あちらも」
「泥沼に入ることを好む者はおりませぬ」
 竹中はこうも言った。
「それ故にです。あちらとしてもです」
「ならよい。それではじゃ」
「はい、それでは」
「本願寺の話はこれで止めてじゃ。そしてじゃ」
「三好との戦の話に戻りますか」
「そうするぞ。ではよいな」
「はい、今我等は山城から摂津に入りました」
 竹中も信長に応えてだ。話をしてきた。
「そしてその我等に対してです」
「三好が兵を向けてきおったな」
「そうです。その数三万です」
「ほう、思ったより多いのう」
「おそらくは四国の兵も持って来たかと」
 だからだ。それだけの数になっっているというのだ。
「そ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ