第八十六話 竹中の献策その三
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「本願寺との戦になると」
「警戒はしておく」
それは忘れないというのだった。
「若し本願寺が来れば迎え撃つぞ」
「畏まりました。それでは」
「その時は」
「その場合は三好を倒せてもじゃ」
だがそれでもだというのだ。
「新たな戦になる」
「本願寺とですか」
「全面的な」
「そうじゃ。かなりの戦になる」
信長の覚悟は固かった。それは顔にも出ている。
「今我等と本願寺が戦になればそれこそ泥沼になる」
「はい、間違いなくそうなるかと」
竹中もだ。すぐに答えたのだった。
「その時は」
「本願寺にとっても損になる」
こうも言う信長だった。
「顕如がそれを選ぶかのう」
「伝え聞くところですが」
また竹中が答えてきた。
「本願寺の法主である顕如殿はかなりの人物です」
「伊達にあれだけの門徒を完全にまとめているだけではないな」
「確かに親鸞上人の血筋です」
本願寺は他の寺とは違う。僧侶であっても妻帯が可能なのだ。これもその親鸞が定めたことだ。かなり異質な仏教の宗派ではあるのだ。
だからだ。顕如は親鸞の血を引いているのである。そのことからだ。彼が本願寺と門徒を掌握できる立場にあるのだ。しかしだった。
竹中は言うのだった。顕如という男について。
「しかしそれ以上にです」
「政の力があるのじゃな」
「そして知恵も」
「人をまとめることも見事じゃな」
「しかもその声一つで無数の門徒達を立ち上がらせるまでに。人を惹き付けます」
ここまで話してだ。竹中はだ。
自らの主を見据えてだ。こうも言ったのだった。
「おそらくですが」
「おそらく。何じゃ」
「殿に比肩する方かと」
「ほう、わしとか」
「私はそう感じています」
軍師として鋭い目になって話す竹中だった。
「そして門徒と鉄砲もあります故」
「一筋縄ではいかんのう」
「おそらく殿、織田家にとって武田や上杉以上の敵になるかと」
そこまでの相手だというのだ。本願寺、そして顕如はだ。
「ですから今はです」
「ぶつかることは避けるか、あちらも」
「泥沼に入ることを好む者はおりませぬ」
竹中はこうも言った。
「それ故にです。あちらとしてもです」
「ならよい。それではじゃ」
「はい、それでは」
「本願寺の話はこれで止めてじゃ。そしてじゃ」
「三好との戦の話に戻りますか」
「そうするぞ。ではよいな」
「はい、今我等は山城から摂津に入りました」
竹中も信長に応えてだ。話をしてきた。
「そしてその我等に対してです」
「三好が兵を向けてきおったな」
「そうです。その数三万です」
「ほう、思ったより多いのう」
「おそらくは四国の兵も持って来たかと」
だからだ。それだけの数になっっているというのだ。
「そ
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