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魔王の友を持つ魔王
§1-? 数百年前
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れ以上相手をするのはしんどいからな。時間も無いし。悪いが許して頂戴な」

 黎斗の声と同時に、槍の一撃がヤマを襲う。心臓を抉った一撃を受けてなお、不死なる肉体は甦る。だが、鎖に囚われたヤマはもう、蘇生以外の行動が出来ない。動くことも攻撃することも叶わないヤマの頭部を再び槍が穿って抉る。

「甚振るのは嫌いだから、全部心臓か頭狙うよ。お互い早く終わらせよう? ???早く、死ね」

 冷酷なる宣言。一方的というにはあまりにも一方的な、情け容赦の無い蹂躙。ヤマの絶叫が辺りに響き渡る。






 それは幾度目か。一方的に嬲られていく光景が、ついに終わりを告げる。既に死亡数のカウントを放棄した両者だが、呪力の減り具合がヤマの余命を確実に伝える。太陽が姿を見せ始めるころには、彼は死亡寸前になっていた。残り命運が僅かとなった彼を前に、思うところがあったのだろうか。黎斗は最後にヤマへ告げる。

「これで終わりかな。次会うときは再生ばっかすんなよ。っーか瘴気撒き散らすな」

 夜明けの日差しを浴びながら、黎斗は最後になるであろう一撃を放つ。ロンギヌスが太陽の光を受けて、黄金色に輝いた。対象の消滅と共に役目を果たした破滅の呪鎖(グレイプニール)も消えていく。死者が七色に煌めく粒子となりて、霧散していくのは幻想的で、ついさっきまで凄惨な虐殺の場だったとは思えない。





「ん……権能の片方はヤマみたいな超再生か」

 パンドラに会ってきた黎斗は、自身の簒奪した権能を確認する。最初に死亡した神、ヤマ。彼の神を葬った彼は不老不死となった。正確にはこの権能を簒奪した時点で一回死亡。その反動で神殺しとなる以前まで肉体が戻る。一見デメリットしか見えないこの権能、この権能の真価は”既に死亡していること”これに尽きる。老いることは無い。寿命も無い。既に死んでいるのだから。死の呪詛も受け付けない。死者を呪い殺すことなど、誰にも出来はしない。あらゆる精神攻撃も通用しない。死んでいるのに風邪引いたり生理現象があったりするのが謎だが、そこはまぁご愛嬌だろう。死人と化した彼を討ち滅ぼすには物理的に肉体を破壊し尽くす他は無い。しかし、ヤマの力により規格外ともいえる再生能力を有した彼を殺し尽くすの困難を極める。肉体全てを一瞬で全消滅させても次の瞬間には再生するのだから。呪力での再生が何回可能かは彼自身にもわからない。ただ二桁ギリギリくらいは再生できるだろう。ヤマの逸話に再生関連のエピソードがあったかどうか知らないが、死者を救う地蔵菩薩と同一視されたことからこの権能は誕生したのだろうか? 小学生の頃、授業で調べた地蔵菩薩のご利益に「何度でも天界に生まれ変わる」というのがあったような気がする。正直、ご利益が多すぎたので合っている自信はない。小学校での学
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