第八十五話 瓶割り柴田その五
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の香りをかぐわせてみよ!」
「ではいざ!」
「おっと、わしもおるぞ!」
その可児の横にだ。慶次が黒い巨体に赤い燃える様な鬣の馬に乗りながら出て来た。
「この朱槍と松風もそう言っておるわ!」
「ふん、では松風と共にか」
「今日も傾くわ!」
まさにそうするとだ。笑顔で返す慶次だった。
「天下無双のふべん者の不便さ見せてやるわ!」
「面白い。ではどちらがより傾くか不便か」
「勝負じゃ!」
二人は共に一番槍を競い川を渡っていく。その二人を追う形でだ。騎馬隊全体がだ。
そのまま川を渡る。それを見てだ。六角は咄嗟に軍を割こうとした。
「槍隊を敵の騎馬隊に向けよ」
「はい、そうしてですか」
「騎馬隊を止めますか」
「すぐに向かえ。さもなければ陣に雪崩れ込まれるぞ」
六角もわかっていた。騎馬隊の怖さはだ。だからこそ対処しようとしたのだ。
だが彼が軍を動かそうとするとだ。ここでだ。また佐久間の軍勢が鉄砲を放ってきた。しかもだ。
彼の軍勢も川を渡ろうとしてきた。それを見てだ。六角は思わず目を止めた。
「くっ、あの者達もおるか」
「殿、あの者達も川を渡ろうとしています」
「ここであの者達に川を渡られれば」
家臣達が言う。そうなればどうなるかは明らかだった。
「我等はまさに挟み撃ちです」
「負けが決まってしまいます」
「ですから」
「兵は割けぬか」
六角は逡巡した。そうなるかと思ったのだ。
これは一瞬だった。彼はここでも一瞬そうなったのだ。しかしその一瞬にだった。
柴田は一気に進みだ。そのうえでだった。
「よし、全軍突撃せよ!」
「おおーーーーーーーーーーっ!」
自らが率いる騎馬隊を六角の軍勢に雪崩れ込ませた。その先頭にはだ。
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