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魔王の友を持つ魔王
§16 ペルセウス、もといサルバトーレあとしまつ
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あったのだろうか。

「どしたん?」

「どしたもクソもあるか! 神殺し相手に引き分けるとか何馬鹿やってんだてめぇ。今日だけでどれだけ魔術組織から追求されたと思ってやがる。姫さんまで弁明に現世に出張ってんだぞ」

 須佐之男命の一言は、黎斗の予想を超えていた。もうちょっと緩やかに噂が広まっていく、と考えていたのだがその考えは甘すぎたらしい。

「……マジ?」

「証拠に姫さん達がこの場にいねぇだろうが」

「……早くない?」

「紅の悪魔経由で情報が拡散してやがる。ホントてめぇは……」

 情報の拡散具合が異常なのはエリカのせいらしい。記憶操作で胡坐をかいていたらこれか。彼女らしくない気がするが。

「またイヤがらせしてくれたなオイ……」

「んで、俺たちはもう過労死しそうな位に忙しいんだが? どっかの誰かが滅茶苦茶目立ってくれやがったせいで」

「ごめんなさい」

 こんな状況でもきちんと庇ってくれている須佐之男命一行に沸いてくる罪悪感と感謝。このタイミングで書き物を須佐之男命がしているとなると十中八九自分のことだろう。聞いてみようかとも思ったがあまり引っ掻き回さない方が良いか。ここは三人を引き取ってとっとと退散しよう。

「あ……こっちに転移させた三人は?」

「そこの机の上に麺棒が三本あるだろ。あんまこっちに人間、それもただの一般人連れてくんなよ」

「ごめんごめん。非常事態だった、ってことで勘弁してちょうだいな」

 麺棒になって机の上を転がっている三人を回収。櫛でなく麺棒なのはなんでだろう? ふと疑問に感じるが、答えを須佐之男命にわざわざ聞くのも馬鹿らしい。これ以上迷惑かけないうちに離脱が吉か。

「んじゃ邪魔したね。迷惑かけてるけどよろしく頼むわ」

「おう。茶を出せなくて悪いな。次来た時はいい菓子用意しといてやるよ」

「……期待してる」

 次に来るときは上質の酒を持って来ようと、心に固く決意した。
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