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魔王の友を持つ魔王
§16 ペルセウス、もといサルバトーレあとしまつ
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…あ」

 まったく考えていなかった。スーリヤの権能で半径十数km以内は焦土に出来る。これを何回繰り返す必要がある?

「えっと地球の面積が……5.10072×10^14uか。北半球ってことは単純に半分にして大体2.5×10^14u。スーリヤ一撃で半径十km焦土にすると考えて面積は3.14×10^8u。ザル勘定で10^14/10^8=10^6だから……ひゃくまん?」

 幽世では必要な情報がすぐに手に入る。地球の面積がすぐにわかるなんて便利すぎる。嗚呼、大学入試もここで受けたい。ここでならどんな入試問題でも満点回答を作成出来る。
 思わずそんな現実逃避をしてしまう。百万なんて単語知らないわからない聞いてない。

「マスター馬鹿でしょ。その計算があってると仮定して、スーリヤの権能を”場所を変えながら”百万回撃てると思ってます? 一日で。妨害以前の問題だと思うんですけど」

スーリヤの権能に呪力を注ぎ込めば性能は向上するはするのだが、怖すぎてそんなの試したことないし上限はわからない。よって通常時で考えているのだが、百万。

「出来るワケがねぇ……」

 物理的に不可能だったのだ。大量殺人者になるのは不可能だったらしい。そう思い安堵する一方、改めてアンドレアに感謝する。ヤケクソになって実行したら人類史に残る大馬鹿者になるところだったのだから。有言不実行にしても趣味が悪い。百万という単語で自分のやろうとしていた事に、今更ながら背筋が冷えた。果たして自分に力があれば本当に実行したのだろうか?

「……やっぱ無理、だな。その場のノリって怖ろしい。帰ったらボランティアでもして道徳やり直すか」

「ボランティアやってそんな道徳が身に付くとは思えませんが……」

 戦慄の会話をしながら主従が目指すのは須佐之男命の屋敷。転移することにより一気に庭までは来るのだが、やはり玄関から入るのが礼儀だろうとの考えにより彼は直接屋内へ転移したことは無い。今回も庭まで一気に転移するつもりだったのだが、気が緩んだ状態で座標を組んだせいだろうか、誤差が山一つ分になっていた。かくして主従は山を越えるのに余計な手間を取る羽目になる。そしてこの時間は、 紅の悪魔(エリカ・ブランデッリ)が一矢報いる準備をするのに十分すぎる時間だった。

「やほー、邪魔するよー。あ、スサノオの眷属ってことで誤魔化してたから口裏あわせヨロシク」

 気楽に構えて須佐之男命の屋敷に入る。普段は黒衣の僧達がいるのに、今日は須佐之男命しかいない。レアな日だ、などと暢気な思考は須佐之男命の怒声に掻き消された。

「黎斗、てめぇざけんな!! ヨロシクじゃねぇよこのボケ!!」

 普段の彼らしからぬ乱雑な口調に黎斗は内心眉を顰める。不良時代の口癖に戻っているということは何か
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