§16 ペルセウス、もといサルバトーレあとしまつ
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。それよりも記憶をどうにかしなければ。おそらく黎斗が記憶改竄をやってくれているとは思うが。
「それにしてもこれだけの実力を完璧に隠していたなんて。黎斗、今に見てなさいよ……」
不気味な笑みを浮かべることで、アンドレアの表情が引き攣っていることに彼女は気づいていない。彼は今まで「こちら側」であることを隠し切ってきた。不審な点は多々あれど、明確な証拠を一切出してこいない。これを彼女は自身の敗北と考える。彼を細かく調査して「異常なし」と判断していたのだから。ここで一矢報いずになんとする。本来ならば交渉で有利に使える手札だが、幸か不幸か今の彼女は年相応の精神になっていた。結果、黎斗 (というより背後の須佐之男命達)はとんでもない地獄に叩き落されることになる。
「って、いけない! 早く護堂と合流しなければ。……祐理、起きなさい。失礼します。アンドレア卿、ご無礼ご容赦を」
今自分がすべきことは何かを思い出した彼女は慌てて祐理を叩き起こす。駆け足で去っていく少女達を見て、アンドレアは溜息を一つ。
「……なんとか誤魔化せたか」
彼の顔には、疲労の色が隠しきれないほど滲み出ていた。
「とりあえず黙っててもらえるかな?」
少女達がすやすやと眠っている隣で、アンドレアと黎斗は対峙する。交渉が黎斗以上に苦手なエルは一人で暢気にグレープジュースを啜っている。口出ししてこれ以上事態が悪化したらとても困るし。
「王の仰せとあらば」
声を絞りだすアンドレアに、黎斗は更なる追い討ちをかける。
「サルバトーレにも、言っちゃダメだからね。現在、僕が神殺しであることが露見するとしたら貴方経由以外にないんだよね。だから、一発でわかるよ」
本来ならば須佐之男命ご一行を除きヴォバンともう一人、黎斗がカンピオーネであることを知る者が居る。だがヴォバンからは秘密にする、と言質を取っているから問題ない、きっと。もう一人の方はそもそも黎斗自身が「正体がバレていること」を知らないのだから対処しようがない。
「一応警告しておこうか。もし僕がカンピオーネであるという噂が広まるようならば、北半球根こそぎ焦土にするよ」
「は……?」
隣でエルが、ジュースを吹き出したが無視。ちなみに黎斗としてはそんな事をするつもりは毛頭無い。ただこう言っておけば確実に黙っているだろう、程度の軽い気持ちである。暴虐で知られている(らしい)後輩達の所業を考えればこれくらい法螺を吹いても大丈夫だろう。と思ったのだがアンドレアの顔色が変だ。流石に北半球は無理があったか? だがここで案を引っ込めるわけにはいかない。ここで引っ込めたら怪しまれること請け合いだろう。
「疑ってる? なんならやってみせようか? 全員合わせても僕の年
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