第八十五話 瓶割り柴田その一
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した。
「よいな。戦が終わるまでの辛抱じゃ」
「やれやれ。助右衛門は厳しいのう」
「しかし御主もそれ程飲むつもりはあるまい」
「喉を少し濡らすだけじゃ」
実際にだ。微笑んでこう答えた慶次だった。
「その程度でよい」
「そうじゃな。御主もじゃな」
「それでよい。今はのう」
「そうじゃな。それではじゃ」
「飲みに行こうぞ」
「うむ」
こう話してだ。そのうえでだ。二人は水が入っている瓶のところに向かった。瓶の前には多くの足軽達が集って水を飲もうとしている。しかしだ。
ここで慶次達の姿を見てだ。彼等は一斉に場所を開けた。
「ささ、どうぞ」
「どうぞ先にお飲み下さい」
「いや、構わんぞ」
だが慶次はその彼等に笑ってこう返した。
「御主達が先に飲むのじゃ」
「しかし慶次殿は部将です」
「それでは」
「部将でも何でも順番は順番じゃ」
だからだとだ。慶次はいいというのだった。
「それでじゃ。御主達が先に飲むがよい」
「そうして宜しいのですか」
「水は」
「そうじゃ。わかったのう」
「はい、それではです」
「御言葉に甘えます」
「そうさせてもらいます」
「そうせよ。ではじゃ」
慶次は奥村と共に足軽達の一番後ろに並んだ。そうしてそのうえで水を待つ。だが暫く経ったところでだ。そこにだった。
柴田が来た。彼を見てだ。足軽達は忽ちのうちに姿勢を正したのだった。
柴田は大股に歩く。そして場の中央まで来てだ。こう言うのだった。
「飲むのだ」
「水をですか」
「それをですか」
「そうじゃ、飲め」
命じる様にしてだ。彼は言う。
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