第九十話 応えよ、オルファン
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るわ」
イザベルはキリーの言葉に頷いた。
「正義の戦士達の勇姿を報道するから。怪我なんかしちゃいられないわ」
「生憎俺達は正義の戦士じゃないんだけれどな」
しかしここで真吾がこう言った。
「えっ!?」
「ゴーショーグンは正義の味方なんだけれどね」
「俺達は正義とか平和とかとは無縁なのさ」
「まさか」
「俺達は三人は流れ者でね。成り行きでゴーショーグンにスカウトされただけなんだ」
「それまでは銘々勝手なことをやってたのよ」
「ここにいれば五月蝿い刑事もいないし飯も食える。乗りかかった船じゃなく逃げ込んだ船ってわけだ」
「そうだったの」
「俺達三人はファイターなんでね。戦うのが仕事」
「そういうこと。わかったかしら」
「けれどそれじゃ困ります」
「おいおい、困るって」
キリーはそれを聞いて苦笑いを浮かべた。
「俺達は別に御前さんのシナリオで動いてるわけじゃないんだから」
「シナリオは別の誰かが書いているのよ」
「願わくばそれが普通の人間であって欲しいな」
「悪魔とかじゃなくてね」
「けれどそれじゃ」
三人の言葉にそれでも反論する。
「私のパパとママがあまりにも可哀想です」
「可哀想!?何かあったのかい!?」
「はい、私のパパとママもジャーナリストでした」
キリーの言葉に応えて話しはじめた。
「ドクーガを追っていたんですが旅行中に事故で」
「ドクーガに暗殺されたってわけか」
「はい、おそらくは」
「つまり貴女は御両親の仇を討ちたいのね」
「・・・・・・・・・」
「それでジャーナリストになったと」
レミーの問いには俯いていた。肯定の沈黙であった。
「図星みたいね」
だがその言葉は咎めるものではなかった。そうしたことを咎めるレミーではなかった。
「まあ、誰にだって事情があるからな」
「あの三人にしたってな」
真吾とキリーが言った。
「御前さんには御前さんの事情があるってことだな」
「はい」
「俺達がこうしてビジネスで戦っているのと同じでな」
「そういうことね」
「まっ、人それぞれってやつだ」
「信念や理念の為に戦うのもいいさ。君のパパやママみたいにな」
「そういうこと。自分の都合に御大層な筋書きはいらないってことだ」
「それでいいんですか?」
「俺達はそう考えてるさ。だが本音を聞かせてもらったから俺達は最後まで協力させてもらうぞ」
「えっ!?」
「私の撮影は左四十五度からね」
「皆さん・・・・・・」
「早い話が真吾もレミーもあんたのことが気に入ったってことさ。無論俺もね」
「キリー・・・・・・」
「おっと、涙は御免だぜ」
泣こうとするイザベルをそう言って止める。
「報道リポーターが泣いてちゃ視聴者ががっかりだ。とびきりのスマイルで頼むぜ」
「はい!」
ゴ
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