第九十話 応えよ、オルファン
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グランチャーであった。三人は勇達の側にやって来た。
クインシィは何も語らない。ただ勇達の側にやって来たのだ。
そして陣を組む。それは勇達に合わせていた。
「こいつら」
「協力してくれているのか」
ラッセとナンガはそれを見て呟いた。
「クインシィ、ジョナサン、何故ですか!?」
シラーは釈然としない顔で二人に問うた。
「何故彼等に協力するのですか?」
「ガバナーはロンド=ベルを社会的に抹殺するためにミサイルを受ける気でいる」
ジョナサンがそれに応えて言った。
「奴の思い通りにさせる気はないっ!!」
「オルファンが傷つけられるのを、黙って見ていられるか!」
クインシィも言った。
「姉さん!クインシィ・イッサー!」
「わかってる、勇!!」
クインシィは頷いた。そしてチャクラ=トライアングルを展開させた。
「みんなぁっ!力をぉぉぉぉぉっ!!」
「こんなもの!なくったって、人は!生きていけます!!」
勇とヒメは叫んでいた。
「めぇ、でしょーっ!!」
「これが!アンチボディの力かよ!?」
ジョナサンも今光の中にいた。
「不思議だ・・・・・・不思議な感覚だ」
クインシィもまた。そして彼女には有り得ないものが出ていた。
「涙が・・・・・・。涙が溢れる・・・・・・」
「えっ、この感じ・・・・・・」
ヒメもまた。今彼等は光の世界の中に入っていた。
ヒメは暗闇の中にいた。だがそこは決して怖い世界ではなかった。暖かく、優しい感じがした。そして彼女はその中で漂っていた。誰かの気配がした。それに顔を向ける。
「誰かいるの?」
そこには黒髪の一人の少女がいた。顔に目を当てて泣いている。
「君、どうしたの?」
ヒメはその少女に声をかけた。
「何で泣いてるの?」
「誰かいるの?」
「うん、私がいるよ」
ヒメはそう答えた。
「私がいるから。さあ、もう泣かないで」
そして言った。
「寂しくないよ」
「・・・・・・・・・」
少女は沈黙している。だがヒメはさらに声をかけた。
「私だって、あなたに触れるから寂しくない」
「寂しくないの?」
「寂しがる殻というのがあってね。いつまでも、そこに閉じこもっていると泣いちゃうんだよ」
「寂しがる殻?」
「うん。その中にいるとね、ずっと泣いちゃうんだよ。だからね、そこからは出るの」
「殻から出るの?」
「そうだよ!」
ヒメはあえて元気のいい声で答えた。
「名前言うね、私は宇都宮比瑪って言うんだ」
「ヒメ姉ちゃん?」
「そうだよ」
「来てくれたの?ここに」
「君はどうしてここにいるの?」
「多分待っていたんだ」
「誰を?」
「それは・・・・・・そうか!」
ここで少女は気付いた。
「あたしね、比瑪姉ちゃんをずっと待ってたんだ!」
「君・・・・・・」
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