第八十八話 ダブリンに日は暮れて
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第八十八話 ダブリンに日は暮れて
ダブリンから宇宙へ脱出しようとするティターンズ。だがドレイク軍はそれに構わず地上に残ろうとしていた。
「あの連中何を考えているんだ?」
ジェリドはそれを見て首を傾げさせた。
「地上に残って。まだ戦うつもりか」
「どうやらそうみたいだな」
カクリコンがそれに応える。
「ここでロンド=ベルと雌雄を決するつもりらしい」
「宇宙には行かないのか」
「後がないと思っているのだろう。ここは彼等の好きにさせればいい」
「それもそうか。俺達は一度は声をかけた」
「ああ」
「それからは知らねえ。任せておくか」
「うむ」
彼等も艦艇に乗り込んだ。夥しい兵器は艦艇に積み、そしてゼダンの門にまで持っていくつもりだ。流石にスードリ等は持っていけなかったが多くの将兵や物資が宇宙に向かおうとしていた。
「また降下することになるかもな」
ジェリドはアレクサンドリアの中で言った。
「それはないんじゃないかい?」
「いや、わからんぞ」
ライラにヤザンが答えた。
「今上の方はブルーコスモスと関係を深めているからな。連中の援助次第でまた勢力を盛り返すことも可能だ」
「木星もあるしな」
カクリコンが言った。
「まだまだ俺達には力があるんだ。また来ることになるかもな」
「その時はもうちょっとましな指揮官を送って欲しいけれどね」
「そうだな」
「もっととんでもないのが来る可能性もあるがな」
「おい、あれよりもか」
ジェリドはヤザンの言葉に顔を顰めさせた。
「あれより酷いとなると俺には想像がつかないぞ」
「下には下がいるぜ」
ヤザンはジェリドにそう返した。
「上には上がいるようにな」
「どんな奴だ、そりゃ」
「あのアズラエルって奴は大したことなさそうだからな」
「あのキザな男だね」
「そうさ。ライラ、御前はあいつについてどう思う?」
「まああんたと同じさ」
ライラは最後まで言わなかった。
「あれは大したことはないね」
「やはりな」
「器も小さいし政治力もあまりないだろうね。地位や金はともかくとして」
「無能というわけか」
「あの若さであの地位にいてそれは普通はないと思うけれど」
マウアーがカクリコンにこう付け加える。
「いや、単に家柄で選ばれた男らしいぜ」
「そうなの」
「ああ。何でもブルーコスモスってのは特定の家の支配が強いらしくてな」
「へえ」
「まるで昔の中南米だな」
ジェリドがそれを聞いて呟く。
「まだそんな連中がいたのか」
「古臭い連中だがな。それでアズラエルはそこの家の一つらしい」
「それでブルーコスモスの理事になったと」
「そういうことだ。まああいつが指揮官になったら洒落じゃ済まねえだろうがな」
「そんな奴をバスク
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