第八十八話 ダブリンに日は暮れて
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のドレイクという男の運命だったのでしょう」
それにカワッセが応えた。
「運命ですか」
「はい。何かよからぬものに影響され。道を誤ったかと」
「そのよからぬものの正体がわかろうとしています」
「といいますと?」
「今それがここにやって来ます」
シーラは言う。
「このうえない邪で肥大化したオーラ力が。今戦場に」
ビショットとショットの軍が今戦場に到着した。その中には当然ながらゲア=ガリングもあった。
「ドレイク閣下、只今到着致しました」
ビショットがドレイクに通信を入れる。
「ビショット殿、わかっておろうな」
「はい」
「ここで決める。あの時申したように」
「畏まりました。では」
「貴殿等の健闘を祈る」
「はっ」
そしてモニターが消えた。ビショットは苦い顔で艦橋に立っていた。
「ここで全てが決まるというのか」
彼はそれに恐れを抱いていたのだ。
「若しここで何かあれば」
「何を恐れておられるのですか」
だがそんな彼にルーザが声をかけてきた。
「ルーザ殿」
「ビショット様、これはまたとない好機なのですよ」
「好機なのですか」
「はい。ここでドレイクとショットが死に、貴方様が勝たれればそれで我等の覇業は成ります」
「確かに」
「そういうことです。それでどうして恐れることがありましょうか」
「それでは怖気付く必要はないのですね」
「そうです。さあ、早く全軍に攻撃命令を」
「わかりました。それでは」
ビショットはそれに応えた。
「赤い三騎士は前に」
配下の軍に命令を出す。
「そしてその後に全軍続け。よいな」
「御意」
「畏まりましたビショット様」
「これでよいのですね」
「はい」
ルーザは動きはじめたビショットの軍を見て満足そうに頷いた。
「では行かれよ。覇業に」
「はい」
ビショットは頷いた。そして指揮を執る為その顔を前に向ける。だが彼はこの時気付いてはいなかった。彼の後ろで邪悪なオーラが増大していっているのを。
(これでよし)
ルーザはゾッとするような凄みのある笑みで戦場を見据えていた。
(全ては私のものに)
彼女もまた野心を抱いていたのだ。それもドレイク達のそれよりも遥かに大きく、邪なものを。今彼女はそれを際限なく増大させていっていた。そしてそれはロンド=ベルの者の何人かも気付いた。
「何なの、この嫌な感じ」
ヒメがそれに気付いた。
「あの蝶ちょみたいな戦艦から出ているよ」
「確かに」
勇にもそれがわかった。
「これは・・・・・・ジョナサン=グレーンのものともまた違う感じだ」
「しかもとってもドス黒くて。嫌な感じ」
「来ましたね」
シーラもそれを感じていた。その表情を暗くさせている。
「この悪しきオーラこそが。バイストンウェルの全ての災厄の中心でした」
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