第八十八話 ダブリンに日は暮れて
[11/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ゲア=ガリング下がれ!」
ここで咄嗟にビショットが指示を下した。
「ビショット様、どうして!?」
「今はあのオーラバトラーを振り切るのです!待機させてあるオーラバトラーを全て出せ!」
ルーザに構わず続け様に指示を出す。
「その間に距離を置け!よいな!」
「は、はい!」
家臣達もそれに頷く。こうしてありったけのオーラバトラーを出しゲア=ガリングはリムルのビアレスと距離を置くのであった。
「リムル、助かったか」
「一瞬どうなるかと思っちゃったよね」
ショウもチャムも胸を撫で下ろしていた。
一瞬であるが両軍の動きに隙が出来た。そしてそれに気付く男もいた。
「思いも寄らぬ出来事だったが」
ショットであった。その狡猾な目が光った。
「今が好機か。ミュージィ」
「はい」
スプリガンのモニターにミュージィが姿を現わした。
「今だ、やるがいい」
「わかりました。それでは」
「いいか、この一瞬にかける」
ショットの顔は何時になく真剣なものであった。
「行け」
「はい」
それだけであった。ミュージィのブブリィが一直線に動いた。
それに気付いた者はいなかった。たった一人を除いて。
「あれは・・・・・・まさか」
黒騎士だけであった。彼はミュージィのブブリィがウィル=ウィプスに向かっているのを見た。
「これでショット様の望みが」
適うのだと思っていた。彼女は一直線にウィル=ウィプスの艦橋を目指していた。
もうすぐであった。もうすぐで射程内に入るところであった。だがその前に黒騎士のガラバが前に出た。
「!?」
「何処へ行くつもりだ、ミュージィ=ポー」
黒騎士は彼女に問うた。
「私はドレイク閣下を御守りする為に」
「嘘をつけ」
だが彼はそれを見抜いていた。
「そのオーラ、殺気が篭もっているぞ」
「クッ」
「貴殿、閣下を暗殺するつもりだった。違うか」
「・・・・・・・・・」
沈黙してしまった。これは肯定の沈黙になってしまった。
「そしてそれはショット=ウェポンの差し金だ」
「・・・・・・・・・」
やはり何も言えなかった。全て真実であったからだ。
「閣下、以上のようです」
「でかした、黒騎士よ」
ドレイクもこのやりとりを聞いていた。そのうえで黒騎士をねぎらうのであった。
「この功績おって褒美をとらそう」
「有り難き御言葉。そしてこの者は」
「よい」
だがドレイクはミュージィ、そしてショットを不問に処すことにした。
「何もなかった。それでよいな」
「はっ」
ドレイクが言うからにはそれが真実であった。黒騎士も頷くしかなかった。
「ミュージィ=ポーよ」
「はい」
「何もなかったのだぞ」
「御意」
頭を垂れるしかなかった。
「ビショット殿も距離を置いている。一時態勢を立て直すぞ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ