第八十六話 それぞれの思惑
[8/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
べきことは一つしかない」
落ち着いていた声が変わった。
「あの男を討つ」
声に憎しみが篭っていた。
「それだけが望みだ」
「俺と似てるな」
ジェリドはそれを聞いてふと呟いた。
「あんたを見ていると鏡を見ているようだ」
「どういうことだ?」
「俺もな。ある男を狙っているんだ」
ジェリドはカミーユとのことを話しはじめた。
「それと同じだと思ってな。一人の敵を狙うってのはよ」
「そういうものか」
「あいつは俺にとって壁みたいなものさ」
そしてこう言った。
「それを越えなくちゃな。先に進めなくなっちまったんだ、俺は」
「私もそれと同じか」
声に自嘲が篭った。
「あの男を倒さなければ。汚名は消えない」
「似た者同士らしいな」
ジェリドはそれを聞いてまた言った。
「話には聞いていたがな。本当に似ているぜ」
「何故それを今話した?」
「一度話をしてみたいと思ってたんだ」
黒騎士に対して言う。
「どんな奴かってな。また縁があったらじっくり話そうぜ」
「そうか。ではその時は」
「酒でも飲みながらな。ウイスキーでもやりながらな」
「ウイスキーか」
黒騎士はそれを聞いてふと口を止めた。
「地上の酒だったな」
「ああ」
「一度飲んでみたことはある。いいものだ」
「そうかい、それはいい」
「一緒に飲んでみたいものだ。縁があったらな」
「ああ、暇があったら飲もうぜ」
「うむ」
意外なところで意気投合する二人であった。そして彼等はモニターを切り戦場に目を移すのであった。
「先陣は私が引き受ける」
カテジナは前方に展開するロンド=ベルの部隊を見据えて言った。
「それでやらせてもらうわ」
「ああ、頼むよ」
それにライラが応えた。
「何かあればフォローに回らせてもらうからね」
「フォロー」
「嫌なのかい?」
「いえ。何か変な気がして」
「変な気」
「私が誰かにフォローされるなんて、って思って」
ふとこう呟いた。
「意外な言葉ね」
「戦場じゃ当たり前のことさ」
ライラは気さくに返した。
「助けて助けられ。それが普通じゃないか」
「そうか」
「あたし達もあんたには何かと助けてもらってるんだ。気にするんじゃないよ」
「有り難う」
「礼はいいさ。それより」
「わかってるわ。ロンド=ベルを」
「そういうこと。じゃあ頼むよ」
「了解」
カテジナのゴトラタンが身構えた。そこにロンド=ベルがやって来た。
「いいか、まずは敵の砲台を狙っていけ」
その指揮を執るバニングが指示を出していた。
「そしてミサイルをだ。邪魔なのから始末していくんだ、いいな」
「了解」
皆それに頷く。
「砲台は射程が長い。まずはそれに注意するんだ」
「つまり懐に飛び込めってことですね」
「簡単に言うとそ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ