第八十六話 それぞれの思惑
[15/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たが言える筈もなかった。
「とにかく落ち着いて指揮にあたって下さい。宜しいですね」
「フン」
何はともあれジャマイカンは戦場に踏み止まった。だが後方から一歩も動こうとはしなかった。
戦いは続いていた。だがティターンズはジワジワと押されていた。そして第二ラインも突破された。
「まずいぜ、このままだとよ」
ヤザンがその戦局を見て言った。
「また負けるぜ、おい」
「次で最後の防衛ラインだがな」
ジェリドがそれに応えた。
「このままだとまずいな」
「援軍はまだかよ」
「オーラバトラーのか?」
「そうだ、こっちに来ているんだよな」
「そうらしいがな」
「その連中が来るって話はどうなったんだよ」
「まさかとは思うが信用しているのか?その話を」
クロノクルがヤザンに問うた。
「そしてあの者達を」
「そんなわけねえだろ」
だがヤザンの返事は素っ気無いものであった。
「あんな連中信用できるかってんだ」
「そうだな」
「だがな、あの連中が来ねえとジャマイカンの奴が騒ぐだろうが。逃げ出そうとしてな」
「それが心配か」
「あたぼうよ、俺はここには戦いたい為にいるんだぜ」
その顔の凄みが増す。
「それで指揮官に逃げられちゃ。どうするってんだよ」
「その心配はなくなったわ」
マウアーが言った。
「来たのか?」
「ええ。北と西から」
マウアーは乗機のガブスレイのレーダーを見ながら言った。
「それぞれ来たわ。オーラシップも一緒ね」
「やっとかよ。それじゃあこれであの馬鹿を気にせずに戦えるな」
「ああ」
ヤザン達は頷き合った。そして戦場に新手の部隊が登場したのであった。
「やっと来おったか」
ドレイクは彼等を見て言った。
「遅れましたな」
「それもわかっておったわ」
彼は部下にそう返した。憮然とした顔である。しかしその顔を見せていたのは一瞬であった。
「遅参申し訳ありません」
ビショットとショットがそれぞれモニターに姿を現わした。
「ゲア=ガリングの出力が思うようにあがらず」
「補給に手間取りまして」
「いやいや、それはいい」
ドレイクは腹の底を隠して二人を出迎えた。
「わざわざ援軍に来て頂けるとはな」
「勿体ない御言葉」
「遅れて来た我等に対して」
「多くの言葉は不要、では早速助けてもらいたい」
「はっ」
「畏まりました」
二人はドレイクの言葉に頷く。
「それで宜しいな」
「わかりました。では」
「早速我等の働きを披露致しましょう」
こうして二人はモニターから姿を消した。ビショットはその後でゲア=ガリングの艦橋でその目を陰険な光で覆っていた。
「さてと、まずはこれで宜しいですね」
「はい、お見事でした」
その横にいる化粧の厚い中年女がそれに応えた。妙に険のある顔をしてい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ