§14 魔王に立ち向かうのは勇者だけではない
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ンドレアも息を呑む。目の前の光景は一体なんなのだろう。
「……へぇ、面白い。こんな形で戦いを仕掛けてくる神様は初めてだよ。ついでに言うなら、直視するまで察することが出来なかったのも初めてだよ」
立ち上がるドニ。そこにさっきまでのおふざけはない。あるのは明確な闘志。その覇気に三人は無意識下で後ずさる。
「バカ、冷静になれ!! この少年達の何処がまつろわぬ神だというのだ!!」
「違うよ。後ろに控えてる紫のコだよ。微かに、ほんの僅かだけど気配がする。身体が勝手に臨戦態勢をとるんだから、間違いない」
エルに用いた変化の術は特殊な物だ。須佐之男命の神力を基本に黎斗の神力を反応させる為、他の誰にも真似することなど出来はしない。今のエルは「存在だけなら」まつろわぬ神と同等なのだ。ドニの身体が臨戦態勢をとったのもそこに起因する。だが、そんなことを理解している者などこの場に居ない。欧州最強の剣の王、サルバトーレ・ドニが本気になる。今重要なことはそれだけ。他は全て枝葉末節、些細な出来事。
「……くっ」
プレッシャーに押され、後退するエル。当たり前だが、彼はエル達を逃がしてくれるほど甘くはない。反町達三人も、エリカと祐理がこの状況では引くことはないだろう。彼らの目は、恐怖に怯えながらも立ち向かおうとしている。
(……やむなし、ですか)
懐から呪符を取り出し、三人の方へと投げつける。強制転移で幽世にある須佐之男命の館へと問答無用で吹き飛ばす。あとで須佐之男命から文句を言われるだろうが事態が事態だ、しょうがない。あとはこの場から逃亡するだけ。この時エルはそう思っていた。
「へぇ、彼らを消したか。」
結果から言えば、エルの判断は間違っていた。彼女はこの場で一目散に逃走すべきだったのだ。そうすれば、追跡してくるであろうドニを三人から引き離すことができるのだから。なまじっか強制転移などという高等術を用いたせいで、ドニの警戒心を煽る結果となってしまったのだ。一般人を駒にするくらいの雑魚かもしれない、という印象から一転、次元転移を可能とする実力者として見られてしまったエルに、彼女一人では生存の目は万に一つもない。転移の護符は一枚しか受け取っていない以上無駄遣い出来ない代物だったのだ。
殺気を察知し背後に飛び退くエル。奇跡的に回避に成功した命を奪う一撃は、彼女の左腕をたやすく吹き飛ばす。
(くっ……マスター!!)
進退窮まったエルは、自らの主に念話を送る。ここに黎斗を呼び寄せることは本来なら下策かもしれない。しかし、エルが死亡すれば変化の術が解け、狐の死体としてこの場に残る。解剖されでもしたら、黎斗の神力の残滓を察知されてしまうだろう。そうなれば事態が露見するだけではすまない。こんなでも一応神殺しの眷属
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