第八十四話 海峡の戦い
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第八十四話 海峡の戦い
ロンド=ベルがバルカン半島に向かっているとの話はすぐにティターンズ及びドレイク軍の耳にも入っていた。そしてそれはゼダンの門にいるジャミトフ達にも伝わっていた。彼はすぐにバスクと共に協議に入った。
「援軍は既に送れるだけ送っております」
バスクはまずこう言った。
「後は地上にいる者達の奮戦に期待するだけです」
「そうか」
ジャミトフはそれを聞いてまずは表情を消した。
「ドレイク軍もおりますし戦力的には圧倒しております。彼奴等に付け入る隙はありません」
「だがそう言ってロシアでは敗れたな」
ジャミトフはここでバスクに対してこう言った。
「十倍の兵力を持ちながらな」
「それは」
これにはバスクも言い返せなかった。
「あれは仕方のないことでした」
「十倍で敗れてもか」
「はい」
力なく頷いた。
「まさかあれで敗れるとは」
「十倍の兵力で敗れてはどれだけあろうと勝てはしないのではないのか」
「いえ、それは」
「少なくとも普通に戦ってはな。地上ではもう無理かも知れぬ」
「といいますと」
「撤退の準備を進めておく必要があるやも知れぬぞ」
「撤退の」
「そうだ、ダブリン近辺にその手配をしておけ」
ジャミトフは言った。
「いざという時にはな。戦力を再度このゼダンの門に集結させよ」
「わかりました」
「それからコロニーレーザーの開発を急げ。よいな」
「はっ」
「そこにロンド=ベルを引き摺り込み一掃するのだ」
「コロニーレーザーでですか」
「そうだ。普通の手段が適わぬのならば」
ジャミトフの目に剣呑な光が宿る。
「非常の手段に訴える。そして最後に勝つのはティターンズだ」
「わかりました。それでは建造を急がせます」
「急げよ。まだ我等の理想は成就されてはいないのだからな」
「そう、青き清浄なる世界はまだですからね」
「むっ」
「貴様か」
ジャミトフとバスクは同時に声がした方に顔を向けた。そこには薄い青のスーツに身を包んだ金髪の青年が立っていた。
「ムルタ=アズラエル」
ジャミトフは彼の名を呼んだ。
「呼んだ覚えはないが」
「まあ細かいことはいいではありませんか」
アズラエルはそんなジャミトフの言葉をかわしながらこう述べた。
「僕もただここに遊びに来ているわけではありませんし」
「では何か考えがあるというのか」
「ええ」
彼は答えた。
「実は我々ブルーコスモスもモビルスーツを開発しておりまして」
「ふむ」
「それをそちらに譲渡するということで」
「そうか」
「そしてパイロットも。ついでに核ミサイルもお渡ししますが」
「核をか」
それを聞いたジャミトフの目がまた光った。
「はい。核は何も持って楽しむだけの
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