若葉時代・慰霊祭編<後編>
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「ど、どうしたんですか、一体!? あね――ごふっ!!」
「黙れ、騒ぐな、声出すな。――オレの言いたい事が分かるな、扉間?」
多分生まれて初めて見る私の女物めいた衣装を着た姿。
それを目にして大声を上げた弟へと素早く肉迫して、その口を塞ぐ。
此所に来るまでに色々な人達から真顔で「どなたですか?」と首を傾げられたのだが、流石は我が弟。一目で私だと見破ったらしい。
余計な事を話される前に、その口を押さえてやれば、やけに青ざめた顔の弟が必死に頭を上下している。それを確認して、口を押さえた手を放してやった。
「い、一体どうなさったのですか! いつもの格好はどうなさったのです。それにその服は……?」
「オレだって本意じゃないよ! 仕方ないじゃないか、ミトに何でも言う事聞いてやるって言ったら、こんなに重くてずるずるしたもの着せられたんだから!」
これじゃあ、いつもの様に走れないし、飛び跳ねる事だって難しい。
本音を言えば、さっさと脱ぎ去りたい。男物の衣装が恋しい。……けど大声でそんな事言えない。
「柱間様、何か言われまして?」
「いいえ、何も!!」
にこやかな微笑みで私達のやり取りを見守っていたミトにそっと囁かれて、背筋を正す。
逆らったらなんかされそうで怖い、なんかってなんだっていう感じだけど。
「しかし、これはこの後の慰霊祭の時にミトが使う筈だった衣装では? ミトにしてはやけに普段使わぬ色を選ぶな……と思っていたのですが――……まさか、ミト」
「へ? これってミトの衣装だったの? じゃあ、今すぐにでも脱ぐから……」
あれ? この服は確かに綺麗だが、色が暖色系統で纏められているから普段ミトが着ている物とは違うよね。
ん? ちょっと待てよ? 扉間が言っている事が確かなら、もしかして……。
襟元に置いていた手をそのままに、扉間と揃ってミトを見つめる。そしてすぐに同時に目を逸らした。
――見なかった事にしよう、うん。
笑顔の般若が見えた様な気がして、扉間と二人顔を合わせて頷いた。
そうだわ、とミトが手を叩く。その音に逸らしていた視線を再びミトへと合わせた。
「この後、舞台で舞う役がありましたでしょ? 折角ですから柱間様、その服のまま舞って下さいな」
「え?」
「――なんでも言う事聞いてくれるって、言ってくれましたでしょ?」
「……はい」
なんかもう、色々と諦めないといけない気がしました。
もう、文句は言うまい。言ったら生きたまま地獄に落とされそう。妹の底知れない恐ろしさを感じました、はい。
*****
今回の会場となった草原は、穏やかな川の流れを有した森の中に囲まれている。
草原が子供達向けの祭りの会場であれば、川に面した開け
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