暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第十六話 黒真珠の間(その一)
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
もらうよ。それと親睦会で何が有っても責任は持てない。私は大人しくしていたいけど周囲がそれを許さないかもしれないしね。オーディンでは私を嫌っている人間が多いから」
親っさんの言葉にフェルナーが肩を竦めた。

「構わんよ、俺の役目は卿を親睦会へ連れてくることだ、その後までは責任は持てない」
こいつ、結構いい根性してるな。軍人よりも海賊向きだよ。多分、碌でもない海賊になると思うけど。

フェルナーが親っさんに招待状を渡した。そして身を翻して去っていく。
「親っさん、あの人、結構いい根性してますね」
俺の言葉にアンシュッツ副頭領が“キア!”って注意したけど親っさんは笑い出した。
「ええ、いい根性をしていますよ。どんな時でも自分だけは生き残る、そう思っていますから。……さあ、帰りましょうか」



帝国暦 489年 3月31日   オーディン  新無憂宮  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



十九時からの親睦会だ、但し受け付けは十八時半になっている。こういうパーティに行く場合、十九時ぴったりに行くのはあまり上手くない。受付が込んで待ち時間が長くなるからな。だからと言って十八時半に行くのはちょっと間抜けだ。親しい人間なんて居ないから一人でポツンとしていることになる

本当は十分程度遅れて行った方が良い。受付も空いているし、どうせホスト役の挨拶なんて始まってはいないから問題は無い。しかし、俺のような歓迎されているとは思えない立場だとちょっと微妙だ。遅れていくとそれだけで騒ぐ奴が居る。と言う訳で十八時四十五分に受付に向かった。

受け付けはスムーズに済んだ。俺が銃を持っていても警備の人間は何も言わなかった。フェルナーが予め俺の事を伝えていたらしい。ただ肩書きをヴァレンシュタイン総合警備代表って書いたら受付の人間は妙な顔をしていたな。海賊黒姫一家頭領と書くと思ったらしい。

黒真珠の間には既に先客がいた。大きな広間には疎らに人が散らばっている。まあ話し相手にはならないだろう、正面から見てあまり目立たない場所に立った。五分程経つと人がパラパラと入って来る。どうやら俺が誰かは皆知っているらしい。入って来る奴は必ず俺の方を見る、そして俺を避けるようにして場所を探す。うんざりした、俺は病原菌か?

十九時になるととんでもない事になった。俺の周囲だけ人が居ない。綺麗に半径五メートルくらいの空白地帯が出来ている。ウェイターを捉まえてジンジャーエールを頼んだが露骨に怯えていた。流石、悪名高き黒姫だ。ここまで来るといっそ快感だな。でも俺ってそんなに悪いことしたかな?

ラインハルトがこれを見たらどう思うかな。ザマーミロか、それとも拙いか……。ここまできたらそれを是非とも確認したいもんだ。そう思っていると長身の軍人が近づいてきた。ミュ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ