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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第十六話 黒真珠の間(その一)
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そう思っていいのかな」
「酷い返し方だがな」
二人が笑っている。なるほど、こいつか、親っさんが頭を下げて頼んだってのは。

「オーベルシュタイン中将は憲兵総監になったそうだね」
「気になるか」
「能力は有るけど癖が有る。野放しは危険だ、見張りを付ける事だね」
「見張り?」
「例えば、……ハイドリッヒ・ラング」

おいおい野郎が驚いてるぜ。ハイドリッヒ・ラング、聞いたことが有るな。副頭領をみると副頭領も驚いている、誰だっけ……。
「社会秩序維持局か」
「名前を変え仕事の中身も変える事だね。その上で憲兵隊の監視もその任務にする。なんだったらラングではなく他の人間をトップに据えても良い、新鮮味が出るだろう」

そうか、社会秩序維持局か、そりゃ驚くわ、俺もびっくりだ。
「しかしな……」
「国内の治安維持を担当する機関は必要だよ。社会秩序維持局で懲りたからと言ってなおざりは許されないと思うけどね」
「……」
うん、迷うよな。あれは酷い組織だ、誰もあれの復活なんて喜ばない。親っさんが苦笑を浮かべた。

「まあいい、それで、私に何の用かな」
「招待状を持ってきた」
おいおい、何か嫌な笑みを浮かべているぞ。悪巧みしているな。
「招待状?」
「今夜、新無憂宮黒真珠の間で親睦会が有る。それに出席して欲しい」

はあ、親睦会? 親っさんにスカした野郎どもとお話ししろってか? 見ろ、親っさんも顔を顰めているだろう。
「ローエングラム公もパーティなど好んでいない。しかし最近軍と文官の間で何かと揉め事が生じるのでね。対立解消の一環として行うわけだ」
「なるほど、皆の嫌われ者を出席させれば一つにまとまるか……」
親っさんが笑い出した。このフェルナーって野郎、酷い野郎だな。碌でもない事を考えやがる。

「そうじゃない、卿がオーディンにいると聞いてローエングラム公が折角だから招待するようにと言ったのさ」
「ほう、珍しい事も有るもんだ」
おいおい、笑いながら言ったって信憑性が無いぞ。親っさんもまだ笑うのを止めていない。

「武勲第一位、イゼルローン要塞を落した卿を呼ばないと言うのは非礼だろう。卿は公にとって命の恩人でもある」
まあそれはあるだろうな。金髪は金髪なりに一応は礼儀を尽くした、そう言う事か……。親っさん、どうするかな。断るのは拙いが行くのもまた面倒だ。親っさんはこういうの嫌がるからな。

「……分かった、招待を受けるよ。わざわざそのために来てくれたんだからね。それに私もローエングラム公に会いたいと思っていたんだ」
「そう言って貰えると助かる」
うん、ホッとしているな。よっぽど強く金髪に言われたのかな、連れて来いって。それにしても親っさん、金髪に会いたいって、何かあるのかな。

「但し、銃の携帯は認めて
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