若葉時代・慰霊祭編<前編>
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」
おじさんの手からぬいぐるみを受け取って、チャクラを込めた糸を通す。
ミト程上手くは出来ないけど、これならどうだ……!
「よし。これなら元通りだよね?」
「ええ。問題ないと思われます」
分かれた頭部と胴体をチャクラ糸で縫い付ける。人体の接合なら何度かやった事あるけど、ぬいぐるみは始めてだったから自信無かったけど、どうやら問題無さそうだ。
しかし……、このままだと縫い付けた後が目立つ……かな? どうしようか。
――ちょっと悩んで、閃いた。
「柱間、何をしている?」
「少しこのままだと目立ちそうだからね。ん、とこれでいいかな?」
今日の私の格好は普段の色無地の和服に羽織を纏っただけの姿だが、折角の祭りだからと言う理由でミトが私の髪を、どこからか調達して来てくれた鮮やかな萌葱色のリボンが私の髪を飾ってくれていた。
使ったのは今日が始めてだし、いいよね。
するするとリボンを解いて、兎のぬいぐるみの縫い目……つまり首の所に蝶々結びで結わえる。
これで、よし。
「はいはい。もう泣かない。ほら、兎も元に戻ったよ」
「うわぁ……! 兎の首がくっ付いてる!」
子供の天真爛漫な一言に、マダラの視線がまた泳ぐ。なんだかんだで不器用だからね、こいつ。
「ほらほら。祭りはまだ始まったばかりなんだから、他の子達とも遊んで来るといい。さ、楽しんでおいで」
「はあい! ありがとうございましたぁ!」
元気一杯に返事をした少女は、とことこと擬音がつきそうな歩き方でマダラの元へと向かう。そうして、ぺこりと頭を下げた。
「頭領、ありがとうございます」
「……あぁ」
面食らった様子のマダラにもう一度少女は微笑むと、大人しく様子を見守っていたカガミ少年の方へと駆け寄って、手を引っ張る。その後に軽く私達に向けて会釈したヒカクさんが続いた。
「良かったね。お礼言われて」
「うるさい」
素直じゃないなぁ、本当に。そんな事を思いながら、空を眺める。
――天上では星々が瞬き、純白の満月が昇り始めていた。
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