若葉時代・慰霊祭編<前編>
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はかよ」
黒目黒髪の、整った容姿の子供達。
服の背中の『うちわ』紋もあって、一目で識別出来る。
「うるさいなぁ! そこまでいうならカガミもやってみたらいいんだ!」
「言ったな!」
柔らかい素材で出来たクナイの形の玩具を投擲して、標的に当てると言うお店らしい。
クナイと言う所が如何にも忍者らしいと言うかなんと言うか。
「ほーら! 失敗したじゃない」
「うるさいな、今度は当てる!!」
店主のおじさんがニヤニヤとした顔で見守る中、投じられたクナイは当たりはしたが、標的である兎のぬいぐるみは微かに揺らいだだけだ。
本物のクナイであるならば兎も角、この玩具のクナイでは軽すぎるし材質が柔らかすぎる。
よっぽどの力を込めて、尚かつ当たりどころが良くない限り、あのぬいぐるみを手に入れる事は難しいだろう。
「残念だったな、お嬢ちゃん達。そら、最後の一本だ。泣いても笑っても、これで最後だぞ」
「そんなぁ……」
どうやらうちはの女の子がぬいぐるみが欲しいと言い出して、それに付き合う形でカガミ少年がいるらしい。
今にも泣き出しそうな少女を見つめて、カガミ少年が困った様に視線を泳がせた。
困った様に手の中の玩具のクナイに視線を落として、次にカガミ少年は陳列されている兎のぬいぐるみを見やる。
一見簡単そうに見えるこの遊戯の、意外な難しさに気付いたのだろう。彼の唇は固く結ばれている。
「おじさん、おじさん。この遊びはちょっと不公平じゃないのかい?」
「そんなことはねーよ! 何てったって、天下のうちは一族相手だ。このくらいのハンデはあってもいいだろうよ」
同じ事に気付いた道行く忍びの一人がおじさんに声をかけるが、軽く一蹴される。
でも、あれだよね。実はかなり不公平な勝負であると言う事を言外に宣言している様な物だよね、今の一言って。
「それとも、こんな簡単な遊びも出来ないのかい? 大した事無いなぁ、うちはも」
「何だと!」
「何ですってぇ!!」
自分達の一族を馬鹿にされたと感じたのだろう。
カガミ少年とうちはの女の子が写輪眼を発動させて、恐ろしい顔で店主のおじさんを睨む。
隣で成り行きを見守っていたヒカクさんも、少々不愉快そうに顔を顰めている。
全く。楽しんでもらうために計画した祭りだと言うのに。
軽く溜め息を吐いて、そうしてすっかり慣れた気配に軽く口元を綻ばせた。
「やあ、マダラ。お前も来てくれた様で嬉しいよ」
「……務めだからな」
鎧を脱いだだけの普段通りの格好で、背後から歩いて来たマダラへと声をかける。
振り向いた先のマダラの顔は相変わらずの仏頂面である。折角の祭りなのだから、楽しめばいいのに。
「お前達、何をしている
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