暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
七話 始まりへ
[4/13]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
「…………」
試合形式の練習とは言っても、クラナは相変わらず全く口を開かない。見てくれだけを観察していると、それはセットアップをしているだけのミット打ちと変わらない……意味の薄い練習に見える。しかし……
「…………!」
日頃から人に教える事を仕事として行っているなのはには分かった。ヴィヴィオの打ち込みが、先程までのただ真っ直ぐな物より、幾分か巧みに……実践的になっている。より当てやすく。より避けにくく。より誘導的に……勿論まだ練習を初めて四十分程度(それでもなのはは、自分が思考の海へ潜っている間にそれだけの時間が経っている事に驚いた)なので、成果としてはほんの少しではある。しかし確かに、練習の結果としてヴィヴィオの動きは試合を行う上で良い方へと向かっていた。
それは間違い無く、クラナによる練習によって身につき始めた物であると思える。そう思うには、無論根拠がある。
指導碁と言う物をご存知だろうか?文字通り、ミッドチルダには存在しない娯楽の一つ。囲碁に置ける、上級者からそれ以下の実力の者に対する対局(試合の事)形式の指導の事である。
さて、この指導碁、実を言うと基本的に対局中は言葉を交わさない。無論交わす場合も多々有るが、基本的には所謂先生側が、生徒側が答に気付くのを待つように打つ。言わば先生側は言葉ではなく、自らの打つ一手一手によって語り、それによって生徒を正しく打てるように導くのである。
クラナの指導方法は、丁度これに近い物であると言えた。
クラナはヴィヴィオに打ち込まれ、それを捌いた際に、それが以前同じような打ち込みをされた物であったりすると、殆ど、或いは全く同じ動作でそれを捌く。
同時にその際、ヴィヴィオが続けて打ち込めるような隙や間を、わざと作るのだ。こうすると、ヴィヴィオは半ば自動的にそれに誘導され、其処に向かって打ち込んでいく。と、当然其処はクラナも防げるようになって居るので、クラナはそれも防ぐ、やはり其処にも隙を作っておく。少し隠すように、意識して出来たと分からないように偽装気味に作られたそれに、矢張りヴィヴィオは打ち込んでいく。また防ぐ。
それを繰り返す事で、徐々にヴィヴィオの身体に一連の動きを覚えさせていく。
やがて、ヴィヴィオが少し立て続けにやるにはキツいかギリギリの所まで来ると、一連の動作の終わりにわざと一撃を喰らい、その一本を終了させる。ちなみにヴィヴィオが無茶な動きをしようとすると、アルが怒ったような声で制止する。
来週までと言う期限が生み出す、焦りによる失敗も、それによって上手く押さえていた。
「クラナ……」
正直な所、不器用ながらもとても上手い指導だった。
クラナ自身が素早く思考し、自身の力量、ヴィヴィオのレベルを正確に把握したうえでヴィヴィオに無理な動きを
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ