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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
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だ。といってもヴィヴィオが吹っ飛ばしたと言うよりも、彼女が直撃の寸前にバックステップで衝撃を逃がした部分が大きいが……いずれにせよ先制はヴィヴィオだ。まぁ、重心の移動が大きすぎたせいで踏み込みがおかしくなり、威力はあまり乗って居なかったのだが
しかし当然、生まれた隙を逃す訳にはいかない。ヴィヴィオはアインハルトを追うように踏み込むと……
「!」
「はっ!」
ダッシュの勢いと共にアインハルトの顔を狙って左の一発。が、そこは上手くアインハルトに防がれる。そこから殆ど自動的に体が右のフックを出そうとするが、添えよりも先にアインハルトの拳がコンパクトな動作でヴィヴィオの顔面を狙って来るため断念。防御に回ってアインハルトのラッシュを捌く事に集中する。とは言え、重い上に正確な拳が次々に襲い来る為数発が顔面にヒットする。
『焦らない……!』
しかしこれだけならばまず間違いなく自分が倒れる要因にならない事は分かっている。それよりもこの後に必ず来るはずの物……アインハルトが大きく右の拳を引いた。
「〜〜〜ッッ!!(来たっ!)」
キメに来る。顔面狙いで動作大きめの威力の大きい一撃。定石であり、クラナとの練習で焦ればこれを喰らうと何度も思い知らされた事。
それを、再び低めに踏み込む事で避けつつ逆にアインハルトの顔面に一撃!
「「「「「やった!?」」」」」
「(まだっ!)」
周りの言葉に、内心で突っ込んだ。手ごたえが浅い。おそらくほんの少しだけ首を引かれて衝撃を分散されている。
案の定無事な様子のアインハルトの眼が、左腕の向こうから覗く。
「はあぁぁぁっ!!」
とは言え一撃は入れた。一気に踏み込みラッシュ!
が……流石に経験が違う。それは全て捌かれ……アインハルトの打ち降ろしが右腕のガードの上からまともにヒット。防具が砕け……
「〜〜〜ッ!」
衝撃を逃がすためにやむ追えず足を曲げる。
とはいえ、手が付いてしまったら腰だめに顔面に一撃食らってKOもありうる。姿勢を下げるならともかく“下げられたら”格闘戦ではアウトだ。
なのであえて左手をつく。その手を軸に相手の顔面に蹴りを……
「(……違う!)」
否。顔面では大ぶり過ぎて間違いなく避けられる。姿勢を下してしまった時は……
「(足払い!)」
これもまた、練習の中で学んだ……否。教えられたことだ。
アインハルトはそれを避けるために当然一度バックステップで距離を取る。その間に体勢を立て直し、踏み込む。
ヴィヴィオとのラッシュを行いながらも、アインハルトは対戦相手である彼女に問いかける。
──貴女はどうしてそんなにも一生懸命なのか──
──師匠が組んだ試合だから?──
──あるいは、友達が見ているから?──
──恩情?見栄?あるいは、怒り?
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