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木の葉芽吹きて大樹為す
若葉時代・同盟編<後編>
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を始めようと計画している」
「一族同士の子供らを……?」

 マダラが疑問の声を上げるので、軽く頷く。
 そう、慰霊祭同様に夕方に行われる子供達同士の交流もまた大事な行事になる。
 猿飛殿と目を合わせて促せば、彼の口が再度開かれた。

「そうだ。夜は大人が中心に行うつもりだが、その前に今後の一族の将来を担っていく子供達にも焦点を当てようと思ってな」
「こういうのはやっぱり、子供同士の方が打ち解け易いからねぇ」

 お菓子を食べながら、秋道の当主が頷く。
 にしても、あのお菓子美味しそうだな……今度どこで売っているのか聞いとこう。
 内心でそんな事を考えていれば、私の方へと話が流れて来ていた。
 おっと、いけない。

「皆様方の間から特に反対の話は出て来ないので、全員了承……という事で構いませんか?」
「ああ」
「いいぜ」
「……悪くない」

 ぐるり、と視線を巡らせながら問い掛ければ、あちこちで了承の意を込めた応答が返される。
 最後まで黙っていたマダラへと、皆の視線が集まった。

 瞳を閉ざして黙考していたマダラの両瞼がゆるゆると開かれる。
 あの、揺れる炎をそのまま映した取った様な赤い目が一度だけ覗くが、直ぐさま黒い輝きの瞳へと戻った。

「――うちはも……異論は無い」
「そうか。これで決まりじゃな」

 そうして、四日後の満月の番。
 連合所属の忍び一族の合同の慰霊祭を兼ねた祭りが開かれる事となった。

*****

「合同慰霊祭……ですか」
「そう。過去の出来事を流す事は出来ないけど、それでも……これから先にこれまでの憎しみを持ち越さない様に、何か出来ないかと考えてね」

 千手の集落に帰って来た後、出迎えてくれた扉間に先程行われた会合内容に関して話す。
 私の黒髪とは似ても似つかない銀髪が光を受けて鈍く輝く。どこか苦しそうに瞳を伏せた弟が幼く見えて、思わずその頭に掌を乗せた。

「姉者……。姉者はどうしてそうも強くいられるのですか……?」
「扉間?」

 顔を伏せたまま、とつとつと話し出す扉間。
 落とされた肩と絞り出される声に弟の苦悶を感じ取って、自然と私の表情も険しくなる。

「正直……うちはと同盟を結びはしましたが……オレは彼らを他の一族の様に同盟の仲間として信じきれません。つい先程まで、それこそ死力を尽くして互いに殺し合おうとして来た者同士ですよ。――それに」

 ただでさえ低い声が、一段と低くなる。
 注意して聞き取ろうとしない限り、その声が聞こえない位に。

「うちはの兄弟の……弟御の方が戦死したと聞いた時」
「扉間?」
「オレは心の何処かで……喜んでいました。父上と母上、あの時に死んだ一族の仇の一人が死んだと……!」

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