第六話 ゴールデンウィークその十五
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「それでそう思ってるけれど」
「そうね。それじゃあね」
「赤ワインでいいわよね」
「ええ、いいと思うわ」
そうだと答える琴乃だった。紅茶、ミルクティーを飲みながら。
「お菓子と一緒に飲むお酒はね」
「それがいいのね」
「普通お菓子と一緒にお酒は飲まないわよね」
「うん、普通はね」
「けれどそれは日本酒かビールのことで」
「ワインはまた違うのね」
「実は白でも結構いけるけれど」
赤は余計にいいというのだ。
「赤の方がね」
「いいのね」
「そう。それがいいと思うわ」
こう話すのだった。
「ここはね。ただね」
「飲み過ぎるなっていうのね」
「飲み過ぎ注意よ」
母は少し注意する顔になって娘にこのことは忠告した。
「そのことはわかってるわね」
「うん、何度も二日酔いになったから」
「次の日大変だったでしょ」
「朝起きてシャワー浴びてもお酒残って」
八条町は飲酒の年齢制限がないから子供でも飲める。だから琴乃もよくわかっていることだった。二日酔いについては。
「それで部活の漁練で走って」
「やっとお酒抜けてだったでしょ」
「ええ、何度もあったから」
二日酔いから解放されるのはかなり難しい。残った酒は中々消えない。
「わかってるわ」
「じゃあ。飲み過ぎはね」
「注意なのね」
「どのお酒も残るけれど」
アルコールがある限りこれは変わらない。
「ワインも残るときついから」
「だからよね」
「ビールとワインは辛いのよ」
「そういえば日本酒よりもね」
「二日酔いで残るでしょ」
「ええ、かなり」
残るとだ。実際に言う琴乃だった。
「残るわ」
「だからね」
母は娘にさらに言う。
「そこは気をつけて、よね」
「飲んだその日にそこからお風呂に長く入ったりすると危ないけれど」
その場合はだった。
「けれどそれでもね」
「飲み過ぎた場合にも次の日の朝には」
「身体を動かしてお風呂に入って」
五人でだというのだ。
「そうすれば二日酔いはなくなるからね」
「だからいいのね」
「そう、飲んだその時はいいけれど」
「お酒は後が大変よね」
「二日酔いがね」
母はそのことを念頭に置いて話をしていた。二日酔いの辛さをよく知っているからこその言葉だった。そしてそれは琴乃も同じだった。
だからだ。こう言ったのである。
「本当に二日酔いになったらね」
「何とかして抜いておいてね」
「わかったわ。部活もあるしね」
ゴールデンウィーク中もある。そのことを念頭に置いてだった。
琴乃はお泊り会の準備を進めだした。それが彼女に、五人にとってよいものであることを願いながらそれにかかった。
第六話 完
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