第六話 ゴールデンウィークその十二
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「それでもね」
「それでもなね」
「和食以外のものに挑戦してみるわ」
「本当に和食以外駄目なの?」
「作ったことないのよ」
そうした意味で作れないというのだ。料理の場合は作ったことがないというのは作られないと言っていい場合がある。
「それでなのよ」
「じゃあ今回若し作ったら」
「初挑戦よ」
「話を聞いただけで緊張するけれど」
「実際に考えただけで緊張するわ」
景子自身もこう返す。
「本当にね」
「やっぱりそうなのね」
「ええ。何を作ろうかってね」
その和食以外のメニューをだというのだ。
「考えてるのよ」
「期待していい?」
「御免、プレッシャーはね」
「辛いの?」
「結構ね」
こう言うのだった。景子も。
「辛いわ」
「けれど別に和食でもね」
「いいっていうの?」
「景子ちゃん和食には自信あるわよね」
「ええ、いつもお家で作ってるからね」
だからだというのだ。
「特にお魚とお野菜を使ったお料理がね」
「得意なのね」
「お味噌汁もね」
和食の定番だ。いや全てをはじめるものだ。
「得意よ。けれどね」
「ここはあえてなの」
「洋食か中華に挑戦しようかなってね」
そう思っているというのだ。
「考えてるのよ」
「中華?」
「実は自分の手で最初からラーメンとか餃子とかもね」
「作ったことないの」
「炒飯もね」
中華料理の基礎のそれもだというのだ。
「ないのよ」
「えっ、炒飯もなの」
「そうなの、ないのよ」
「炒飯も作ったことないの」
彩夏は目を丸くさせて景子に問い返した。
「それ本当に?」
「こんなことで誰も嘘言わないでしょ」
「それはそうだけれど」
「そういう時はいつもね」
「何作ってたの?」
「簡単にレトルトのカレーとか」
それを御飯にかけて終わりだ。
「卵丼を作るとか」
「それでやってたの」
「そうなの。炒飯を作るよりもね」
景子は卵丼だというのだ。
「そうしてるの」
「完全に和風ね」
「お家が神社だからね」
「和風なの」
「お父さんもおにいちゃんも和食好きだし。あっ、お祖父ちゃんもお祖母ちゃんもね」
年配の肉親達もだった。
「やっぱり和食が好きだから」
「必然的に作るのも」
「そうなの。和食ばかりだったから」
「ハンバーグとかカレー食べないの?景子ちゃんのお家」
「お母さんが作るから」
洋食はそうだというのだ。
「中華もね」
「スパゲティとかも」
「そうなの。グラタンとかもね」
「結構洋食系も食べてない?」
「食べてるけれど実際に作るのはね」
景子はしていないというのだ。
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