第六話 ゴールデンウィークその四
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「それじゃあゴールデンウィークは順番でね」
「五人全員の家でお泊り会やるか」
「そうなるわね」
「確かにそうよね」
里香もそうだと言った。
「これだと」
「じゃああれね」
景子がまた言う。
「部活もゴールデンウィーク中あるから」
「それが終わった後でそれぞれね」
「お家に入ってそうして」
「お泊り会やって」
「それで楽しむのね」
これが五人のゴールデンウィークの行動になろうとしていた。その日はこのことを話しただけだった。だが琴乃は家に帰ると己の母親にこのことを話した。するとだった。
母は明るい顔で娘にすぐにこう言ったのだった。
「いいんじゃないかしら」
「あっ、いいの」
「ええ。いいと思うわ」
母親の笑みでの言葉だった。
「琴乃ちゃんのお友達がここに来てよね」
「そう。一泊してね」
「お泊り会ね。それ琴乃ちゃんがするのって」
「今までお友達お家に呼んできたけれど」
このことは数えきれなかった。琴乃は子供の頃から友達が多い方だ。明るい性格で人に好かれる方だからだ。
「それでもそれはね」
「なかったわよね」
「けれどそれでもね」
母はにこりとして娘に話す。
「それもいいわね」
「お泊り会いいのね」
「そう思うわ。ただね」
「ただって?」
「女の子同士でも変なことはしないことよ」
くすりと笑っての言葉だった。
「不純異性交遊も駄目だけれどね」
「女の子同士もっていうのね」
「不純同性交遊は校則にはないと思うけれど」
どの学校の校則でも不純異性交遊は禁止されている。あまり守られていない可能性が高い校則の一つではあるがだ。
しかし同性となるとこれはない。多くの教師の想定の範囲外だからだ。しかし母は笑ってこう娘に言ったのだ。
「それでもね」
「駄目だっていうのね」
「そう。それはね」
「わかってるわよ」
琴乃は苦笑いで母に応えた。
「というか私達そういう関係じゃないから」
「何だ、そうなの」
「何だじゃなくてそんな漫画みたいなことないから」
琴乃はやや口を尖らせて母に抗議する。
「普通はね」
「まあ普通はそうだけれどね」
「というか。私彼氏もいないのよ」
実は琴乃は彼氏いない暦イコール年齢である。
「それでどうして女の子なのよ」
「女の子だと彼女よね」
「そうなるけれど女の子とはお友達になれても」
「そうした相手にはなれないっていうのね」
「そうよ。そんなことはないから」
本当に琴乃の考えでは想定の範囲外だった。そうした意味で殆どの教師と同じ考えであると言えた。
「絶対にね」
「だと残念だけれどね」
「よかった、じゃないの?」
「確かにいいけれど残念ではあるわね」
「残念って何よ」
「だって。同性愛は法律で禁止
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