若葉時代・同盟編<前編>
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――とうとう、この日が来たのか。
結ばれたままの手を見つめて、その上にある赤い目と視線を合わせる。
三つの巴紋の浮かぶ写輪眼を見つめると、遠い日の光景が脳裏を走る。
……あの森の邂逅から、あの雨の誓いの日から、何年も経った。
最大の懸念であり難敵であったうちはとの同盟も、この日に結ばれた。
そう考えて、鋭い痛みが胸を走る。
目の前の青年とよく似た面差しを持つ、歳若い少年とも言っていい風貌の持ち主を思い出した。
敵であったけれど、憎む事は出来なかった。
故に、両親と一族の者達を殺した相手であったイズナの死を私は悼んだ。
――けれど、傍目にも仲のいい兄弟であったマダラが感じた痛みは私以上だろう。
彼が弟を殊更大事にしていたのを知っている。
だからこそ、この同盟を結ぶ事は彼にとって非常に苦痛となっただろう。
複雑な感情が浮かぶ写輪眼。
それを見つめながら、力の緩まった相手の指先をそっと掌で掬う。
振り払われたら簡単に解ける様に、あくまでも――そっと。
「柱間……?」
相手が息を飲んだ気配を感じるが、黙って両瞼を閉じる。
掬い上げた相手の指先を、自分の額に付くか付かないかの位置に当てる。
自分でもなんでこんな行動をとったのかは分からない。ただありったけの感謝と哀悼の想いを込めて小さく囁いた。
「……ありがとう、マダラ。同盟を応じてくれて」
その囁きを聞き取れたのは間違いなくマダラだけの筈だ。
すぐ後ろで成り行きを見守っていた扉間にだって聞こえなかったと思う。
――誓おう。
千手のためにも、うちはのためにも、私を信じてくれた人々のためにも。
一時だけかもしれない。それでも、戦乱の世を太平の世へと換えてみせよう。
額に付けた指先を優しく落として、辛うじて触れていた掌を離す。
閉じた両瞼を開いて、正面のマダラから、眼下の両一族の者達へと視線を動かした。
不安そうな顔、期待する顔、懐疑に揺れる顔。
その全てを視線を合わせて、私は自信に満ちた表情で微笑んでみせた。
*****
あ。……そういえば、大事な事忘れてた。
「じゃ、マダラ。いきなりで悪いけど、これから会合があるから一緒に行かない?」
「は!?」
「え?」
「はぁ!?」
結ばれた手を放した後にマダラにそう宣言すれば、マダラだけでなくうちはと千手の人々も口を丸くして、目を剥く。
「ちょ、ちょっと待って下さい! どういう事ですか、兄上!」
「あれ? 言ってなかったけ、扉間?」
「何にも言われてません!!」
首を傾げれば、力強く首肯された。
腰に片手を当てて、空いた手でこめかみを掻く。
えーと……そういえ
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