暁 〜小説投稿サイト〜
万華鏡
第十六話 プールと海その五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「手がつけられないレベルで強くなってるよ」
「それはちょっとね」
「他のポジションもこれが凄いんだよ」
 話は何時の間にか美優の兄に関するものになっていた。
「セカンド井口、ショート石毛、指名打者松中、ライト柴原、レフトバルデスな」
 基本ダイエーホークス日本一の頃だった。石毛もホークスにいた時期がある。
「ホークスで固めてるんだよ」
「ピッチャーは?」
「杉浦さん入れたよ」
「あれっ、あのj人って確か」
 今度は景子が怪訝な顔で言う。
「南海の」
「けれどホークスだろ」
「それはそうだけれど」
「だからいいんだって言ってな」
「それで入れたの」
「そうなんだよ。凄いぜ」
「そうよね。杉浦忠っていったら」
 この大投手のことは景子が話す。
「三十八勝四敗っていう成績残して」
「シリーズでも四連投四連勝な」
{今じゃ絶対無理の成績よね」
「どう考えてもな」
「そうよね」
「変化球とかコントロールとかはどうだったんだ?」
 美優は杉浦のそうした能力について里香に尋ねた。
「速度は」
「球速は一五〇近くて」
 確かに速い。
「コントロール抜群でカーブが変化量マックス」
 まずはカーブだった。
「それにシュートもそれに継いでね」
「変化球で勝つピッチャーなんだな」
「そう、コントロールも抜群で」
「そもそもが凄いんだな」
「凄いことは凄いけれど」
 里香はそれでもだと述べる。
「変化球量全部で十三でキレよしもつくのはまだあるのよ」
「今のピッチャーでもなんだな」
「そう。コントロールとか一試合あたりのスタミナも」
 そうしたものもだというのだ。
「あるのよ。ただね」
「ただ、なんだな」
「そう。回復が凄いのよ」
 投げた後、それからだというのだ。
「今完投して次の試合も先発出来る人いないでしょ」
「夢だろ、それは」
「そうでしょ。やっぱり」
「二試合連続完投か」
「そういうピッチャーもういないけれど」
「何でいなくなったんだろうな」
 ゲームでもそこまでは再現しきてないがそれでもこのことを不思議に思って美優は首を傾げさせたのだった。
「兄貴がゲームに入れた理由はわかってきたけれどな」
「戦前と戦後じゃ大きく違うことがあって」
「大きく違うこと?」
「医療が違ってて」
 医学部志望の里香らしいことだった。
「戦前と戦後じゃ進歩の度合いが違うの」
「じゃあ身体の弱い人なんかは」
「そう。死ぬことが多かったから」
 だからだというのだ。
「生きててしかもその中から丈夫な人がスポーツ選手になるじゃない」
「そういうものだよな」
「それで昔の選手って今の選手と比べるとスタミナが違ったの」
「回復が違ったんだな」
「ひょっとして美優ちゃんのお兄さ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ