第十六話 プールと海その一
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リーン直撃だよ」
「どんなのだよ」
兄はここで妹のしているゲームに顔を向けた。とはいってもリビングに座ってビールは手放してはいない。
見れば丁度ホームランを打ったバッターがベースを回っている。兄はそれを見て妹に笑顔でこう言った。
「ああ、いいな」
「サクセスで育てた選手だよ」
「ポジション何処だよ」
「サードな」
守備位置はそこだというのだ。
「藤村っていうんだけれどさ」
「背番号十だよな」
兄は藤村と聞いてすぐにこの背番号を出した。
「それだよな」
「そうだよ。ミスタータイガースだよ」
「御前も古い選手出すな」
「ちょっと本読んでたら出て来たんだよ」
この藤村がだというのだ。古い野球の本ではこの伝説的名選手のことが時々出て来るのだ。阪神の看板選手として。
「凄い選手だったってさ。だから作ってみたんだよ」
「打つだけじゃなくて守備も足も再現したんだよな」
「怪我しにくい風にもしておいたよ」
藤村は故障しにくい選手としても有名だった。
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