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万華鏡
第十五話 雨は駄目その十一
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していた。そのうえでの言葉だ。
「私もね」
「彩夏ちゃんもなのね」
「ええ、私も何かね」
 オレンジというやはり鮮やかな好きな彼女もだった。
「紫陽花を見てると」
「好きになったの?」
「優しい色よね」
 その紫陽花達の色はというのだ。
「とてもね」
「そうでしょ。それじゃあ」
「見させてね」
 彩夏もこう言った。
「暫くの間ね」
「これで五人揃ったわね」
「今回もね」
「一人で見るよりも」
 言うのは里香もだった。
「五人よね」
「そう思ってじゃない、里香ちゃんも」
 琴乃はその里香に言った。
「私達を呼んでくれたじゃない、ここに」
「それはそうだけれどね」
「だったらもう少しね」
「見てくれるのね」
「もっと見てたら曲も練り込めるだろうし」 
 紫陽花を見てヒントを得た曲ならより見ればさらにだというのだ。
「だからね。見よう」
「そうね。それじゃあ」
 里香もまた琴乃の言葉に笑顔になった。そして五人で紫陽花の花達、様々な色のそれを見ていった。五人は梅雨の楽しみも見出したのだ。


第十五話   完


                 2012・11・14
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