第十五話 雨は駄目その三
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「ロシアだと十五年で復活するけれど」
「ロシアって」
「あの国は何があっても復活できるから」
イワン雷帝の後の動乱期もロシア革命も第二次世界大戦もソ連崩壊も何度もそうした危機があったがその度に復活してきた国だ。
「物凄い体力と回復力の国だから」
「横浜にロシアみたいな力は?」
「普通はないから」
これは球団だけでなく国家でも同じだ。
「流石にね」
「ロシアみたいなパワーもないわよね」
「いい選手は皆他の球団に行くからね」
育成も下手だが稀に育った選手もである。中には巨人の如き強奪してくる非道な球団も存在しているのが現実だ。巨人は世界の諸悪の根源であるが横浜に対してもそうだ。
「だからね」
「パワーもね」
「守備も悪いから」
「それ伝統的に悪くない?」
「優勝の時は違ったけれど」
最早遥か彼方の話である。
「その時は打線もつながってたから」
「あの横浜打線が?」
「そうなの。もう連打の嵐で」
本当のことである。今はとても信じられないが。
「マシンガン打線って言われてたのよ」
「連打だからよね」
「そう。あまりにもヒットが続けて出たから」
それでマシンガン打線だったのである。
「横浜打線はね」
「昔はそうだったのね」
「今はちょっとね」
「いや、ちょっとどころじゃなくて」
琴乃は苦笑いで里香に返した。
「全然よね」
「つながってないわね」
「そう、今はもうね」
「横浜もそんな時期があったのね」
「あのお店の娘確か高校生で」
そうした意味では琴乃達と同じだ。同じ高校生であることは間違いないというのだ。
「同じ学年だったかしら」
「同じ歳だったのね」
高校は留年があるが滅多にないことなので琴乃もこう捉えた。
「そうなのね」
「そうみたいよ。まだ私達と同じ歳なのに」
「野球のことは置いておいてしっかりしてるわよね」
「そうよね」
こう二人で話す。
そして二人に景子が言う。
「じゃあカラオケで歌の練習ね」
「それでいいだろ」
美優も言う。
「あの店楽器も貸してくれるしな」
「色々あるお店よね」
「だからいいんだよ」
遊ぶだけでなく練習も出来るからだというのだ。
「じゃあそこな」
「ええ、わかったわ」
「ただ。歌と演奏メインだからな」
美優はこのことは断った。
「あまり飲み過ぎない様にしないとな」
「飲み過ぎたら酔い潰れるからね」
彩夏も美優のその言葉に頷く。
「それで歌や演奏どころじゃないから」
「ああ、その辺り気をつけないとな」
「食べるのはいいのね」
「それはいいだろ。あそこ食べ放題もあるからな」
勿論飲み放題もある。そうした意味でもいい店なのである。
「食べてエネルギー補給はいいだろうけれどな」
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