第十五話 雨は駄目その一
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第十五話 雨は駄目
琴乃は部活中にプラネッツのメンバーに自分のダンスを見せていた。演奏の間のダンスであるがそれをあえて見せた。
一通り踊って汗をタオルで拭きながら四人に尋ねた。
「どうかな」
「そうね。いいんじゃない?」
景子は三角座りのまま見ていたがこう琴乃に答えた。彼女もそうだが琴乃も他の三人も今もジャージ姿である。
いつもの赤いジャージの姿でこう琴乃に言ったのである。
「それでね」
「前よりいい?」
「ううん、どうかしら」
いいとは言ってもだった。そう問われると景子も微妙な顔になった。
首を傾げさせながらこう琴乃に言ったのである。
「前と比べても」
「変わらない?」
「いいことはいいけれど」
だがそれでもだというのだ。
「前とどうかって言われるとね」
「わからないのね」
「ちょっとね」
そうだというのだ。
「今一つ言えないわね」
「そうなのね」
「御免、はっきりとは言えないわ」
「こういうのって難しいわね、いいか悪いか言うのは」
彩夏も微妙な感じだ。
「あまりね」
「彩夏ちゃんも?」
「すぐに上達するもの?ダンスって」
彩夏が言うのはこうだった。
「それ違うんじゃないかしら」
「毎日やってなのね」
「すぐに劇的に上達するとかね」
ないというのだ。
「やっぱり違うでしょ」
「そういうものかしら」
「演奏もそうじゃない」
彩夏は三角座り、彼女もそうしている座り方で右手の人差し指を立ててここでこう琴乃に対して言った。
「いきなり上手になるとかないでしょ」
「それどころか中々上手にならないわよね」
「でしょ?だからね」
それでだというのだ。
「ダンスだってね」
「違うのね」
「そう。毎日少しずつやって」
「少しずつ上手になるものなのね」
「そういうものでしょ」
こう言ったのだった。
「やっぱりね」
「ううん、じゃあ今のダンスも」
「一月二月なら変わると思うけれど」
それだけの時間があればというのだ。
「そんな三日位じゃね」
「変わらないものなのね」
「もう少しじっくりやってみない?」
これが彩夏の提案だった。
「それで見てみたらいいと思うわ」
「そういうものなのね」104
「ええ。ただね」
「ただ?」
「琴乃ちゃんのダンスは確かにいいから」
だからだというのだ。
「このままやっていっていいと思うわ」
「筋はいいのね」
「やっぱりやればやるだけいいから」
「それだけよくなるのね」
「だから頑張ってね」
「うん、毎日してればね」
「そのうちアメリカの黒人の人みたいになれるかもね」
彩夏は笑ってこうも言った。
「毎日してたらね」
「いや、あそこまでは
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