第十四話 成果その十五
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体を温めてからよ」
母は今は強く言った。
「それから何でもね」
「準備体操をしないとね」
「温める意味以外にもね」
準備体操の意味は他にもあった。
「ほぐすこともあるから」
「それ中学の時にかなり言われたけれど」
「水泳でもそうよ」
このスポーツもだった。
「準備体操をしないと駄目だから」
「ダンスでも」
「極論すればお料理にもよ」
「そっちもなの」
「お母さんもそれはしていないけれどね」
料理の前の準備体操はだというのだ。
「そこまではね」
「普通はしないわよね」
「けれど心構えはしてるわ」
それはだというのだ。
「包丁も火も使うからね」
「お料理も危ないからね」
「そう。じゃあダンスの練習の前にはね」
「うん、準備体操もしっかりするわ」
「あとよかったらね」
母はさらに言う。
「お風呂の後にはね」
「一杯?」
「その前によ。お茶ならいいけれど」
琴乃が今言った一杯とは酒のことだ。だが母はそれが違うというのだった。
「ストレッチよ。お風呂の後はね」
「あっ、身体をほぐすのね」
「そして柔らかくするのよ」
「それよね」
「そう。身体が柔らかいとダンスも滑らかになるでしょ」
「私昔から身体柔らかいけれど」
身体の柔らかさにも自信がある。バスケ部の時からその柔軟さについては周りからもよく言われてきている。
「余計になのね」
「そう、柔らかいに越したことはないわよ」
「それこそヨガ出来るみたいに?」
「そこまで出来る?柔らかく」
「無理かもね、それはね」
琴乃はそこまではと少し苦笑いになって母親に答えた。
「幾ら何でも」
「まあそこまでは言わないけれどね」
「ダンスだからよね」
「そう、とにかくね」
それでもだというのだ。
「ストレッチはしっかりしてね」
「うん、ダンスが滑らかになる様に」
「そして怪我もね」
またこのことが話に出た。
「怪我もしない様にね」
「何でも怪我なのね」
「スポーツ選手でも第一は怪我をしないことでしょ」
故障がちの選手は幾ら素質があっても大成しにくい。田淵幸一もその怪我の多さの為に名球界に入ることが出来なかった。
「だからよ」
「そういうことね」
「じゃあいいわね」
「ええ、準備体操とストレッチもね」
「忘れないでね」
琴乃は母にはこの二つのことを言われた。とにかく琴乃は今は軽音楽部としてダンスにも励んでいた。それはただ踊るだけでなかった。
第十四話 完
2012・11・5
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