5-2話
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レでも、飛行機が落ちるニュースも見たことがあるし、それで何百人も死んだというニュースだって見たことある。
だがそれは……しょせんは対岸の火事としか見ていない。
自分が見知った人が既に死んでいるなど、到底認められる事じゃなかった。
「ば…馬鹿な事を言うなよ」
「仙石…」
「うっせぇよ!!! もう聞きたくねえ!」
それ以上真理谷の言葉を喋らせないように、オレは声を荒げる。
絶対に、そんな事はない…と真理谷にではなく、自分自身にその可能性を必死に頭から追い出す。
「戻るぞ真理谷……探索を続けなきゃ! 大森さんも心配だしな!」
真理谷はそれ以上何も言わなかった。
―――。
苛立ち紛れに足音を鳴らしながら休憩場所に戻ると、プティロドゥスと戯れる大森さんの姿があった。
「チチ……」
大森さんは猫を相手するかのように舌を鳴らして、指で突っついたりする。
プティロドゥスも差し出された指を掴んだりして、見ていて和む光景だった。
まるでペットと遊ぶ子供みたいだ…。
言えねえよな……
あの姿を見ていて、真理谷に聞かされた話を、彼女に言うべきじゃないと思った。
それでも立ち止まるわけにもいかなかった。
「おいっ、もう十分に休んだだろ。 そろそろ行こうぜ」
「あ…はいっ……」
声をかけられてようやくオレ達に気付いた。
彼女を交えて捜索を再開する。
―――その時だった。
「―――っ」
プティロドゥスがピクリと反応して顔が上がる。
そこから次の瞬間は速かった。
突然、大森さんの腕からプティロドゥスが離れたのだ。
「あ……ま、待って!?」
大森さんは呼び止めるも、プティロドゥスは止まってはくれなかった。
それなりに可愛がっていた彼女は、いきなりの離別に戸惑って懇願した。
だが、小柄な小動物はその懇願を振り払い、俊敏な動きで垂直の木肌を駆け登り、枝から枝へと飛び移って大森さんの元から去っていった。
―――まるで“この場”から奔っていくように。
「どうして……」
―――…ーーーイ!
ふと、耳は遠くで声を拾った。
ほんのわずかだが、森の葉鳴りとも小動物のざわめきとも違う音調にオレは訝しんだ。
―――オォーーーーイ!!
「(こ、この声は……!?)」
聞き覚えのある単調な呼びかけ。
人の声に似ているソレは、意味が篭められていない悪夢の呼びかけだった。
オレのみならず、真理谷や大森さんもその声に恐怖思い出させられた。
「お、おい…仙石……こ、これは…」
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