5-2話
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てくるし、離れて欲しい時も呼び寄せる時も言えばちゃんとわかってくれる。
その利口さはヘタな犬より賢いとすら思える。
このプティロドゥスが特別そうなのか、それとも天信睦月によるものなのかはわからなかった。
「……仙石、ちょっと付き合え」
息を整えた真理谷がそんな事を言ってきた。
ちょうど腰を下ろそうとした所だったから出鼻を挫かれた。
「なんだションベンか? 一人じゃ不安か?」
「いいから来い」
もしかしてアッチだろうか?
それで誘われても困るな…臭いのは嫌だぞ。
―――。
「おい、真理谷どこまで行くんだ。 どんどん大森さんから離れていくぞ? 危ないだろ、一人にしちゃ…」
オレ達は結構深い所まで来ていた。
大森さんの姿はもう見えていない。 これ以上遠く離れたら、そうなったら万が一の事があっても大声でもしない限り聞こえるかどうかわからない。
「あの女には聞かれたくない話だ。 また泣き喚かれても面倒だしな……」
「……」
オレは真理谷の言葉に緊張感を抱いた。
秀才の真理谷がわざわざ前置きを置いて話すという事は、それなりに真面目な話なのだろうとすぐにわかった。
「おかしいと思わないか仙石?」
真理谷はまず疑問から始めて、言葉を続けた。
「五時間…これだけ探しても、人はおろか、事故の痕跡すら見つからないなんて…」
「たかが…五時間だろ? もっとよく探せば……」
「何もない事はない、あれほど巨大な物が墜落すれば火事になっておかしくない。 地形を変える事だってあるし、その影響は広い。 なのにどうだ? この静けさ…まるで何事もなかったかのように落ち着いているこの感じ……“何か”あったと考えるべきだろう」
オレは…それに何も答えられなかった。
どこかに誰かがいる。 頭の中でそう否定した。
あの睦月さんだって居たんだ、だから何もないはずがない。 そう自分に言い聞かせていた。
「なあ、仙石―――皆…もう死んでいるんじゃないのか?」
―――!!
「墜落事故のニュースは見たことはあるだろう。 航空機が落ちる事は稀だが、事故が起きれば……その死亡率は限りなく100%に近い。 ここではないどこかで……あるいは遠くの場所で落ちた可能性がある。 僕らが生きていた事…これ自体が奇跡だ、無傷でいるのがありえない。 だが……他の奴もそうだとは限らない」
そんな……。
「その事を……覚悟しておいた方がいい」
真理谷の言葉はオレに非常な現実……限りなく可能性が高い未来を暗示てきた。
学友、親友、幼馴染……それらがオレの知らないところで死んでいる…。
オ
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