5-2話
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「おーーーーい!!」
小動物がざわめく森の中で声を張り上げる。
態度と声はデカいオレは、遠くにまで聞こえるほどに密林への向こうへと大声を響かせる。
声を張り上げつつも、オレ達は人を探し求めて木々を掻き分けて足を進む。
平地でもないこの土地は斜面が多く、原生林みたいなこの森には木の幹の凹凸もあり、バレー部のトレーニングでもないようなハードワークに全身から汗が浮かぶ。
「誰かー! いませんかーー!!」
かれこれ呼びかけ続けても返事が返ってくる事はなかった。
あてもなく探索し続けていて疲れを覚える。
だが同時にわずかに安心もしていた。
返事がないという事はあの化け物鳥―――ディアトリマに遭遇する事もないからだ。
動物の声色で人間の言葉を話す怪鳥。
一度は、助けられたからどうにかなった……だが、オレ達だけであんな怪物に出会ったらどうなるかと思うと想像したくない。
頼むから出会わないでくれよ、と自分の運勢に頼み込む。
「おおーい!! 誰かーー!!」
もっぱら声を張り上げているのはオレだけだ。
オレの後ろを歩く真理谷とCAは息を切らしていて、少し出遅れている状態だ。
「おいっ、お前ら元気ねーぞ! もっと声出しよ!」
オレは発破をかけようと二人にそう言う。
「はぁ……ぜぇ………僕は理系の人間だ。 体力バカのお前と一緒にするな……お前みたいに、ずっと声を張り上げてられるか……」
「そ……そうですよ。 昨晩は…野宿なんて初めてだから、よく眠れませんでしたし……少しは休みましょうよ…」
「アぁん!? だらしねーぞ、てめーら!」
くっ……これ以上は駄目か。
オレ達がこの土地で一夜を明かした。
ディアトリマとの遭遇から一日だけしか経っていないし、こんな環境で寝具もなしに過ごした影響は思ったよりも重い。
ほぼ休みなしの強行軍にも関わらず、既に昼は過ぎている。 二人の顔には疲労の表情が浮かんでいて、オレよりも心身共に参っている様子だ。
「たく、しょうがねぇーな………」
もやしな真理谷や、CAのパンプスは森を踏破するのに向いていない。
二人ではオレの体力について行けないから、オレが合わせてここは足を止めるしかなかった。
“目印”を付けておくついでの事もある。
休憩の提案を受け入れてここで休む事にした。
「ぜー……ぜ〜……」
ノートパソコンを置いて大の字に寝転がる真理谷をよそに、オレは休む前に“目印”を付ける作業に入った。
先の尖っている石で、手頃に見易い位置にある木に叩きつける。
「っ……っ……!」
「あ、あの……仙石くん…?」
ガツッ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ