第十四話 成果その七
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「今は穏やかね」
「ううん、結構疲れてるけれど」
「それでもよ」
「顔立ちが?」
「穏やかじゃない」
こう微笑んで娘に言う。
「最初の頃よりずっとね」
「部活に慣れてきたのかしら」
「それと体力がついたからね」
毎日の筋力トレーニングでそうなった、当然ランニングも入っている。
「だからよ」
「そうよね。その話琴乃ちゃん達ともしたけれど」
「お母さんもこう見えても学生試合テニスをしてたのよ」
「えっ、テニスを?」
「そう。意外かしら」
「意外かどうかって言われたら」
里香は首を捻りながら母に答える。
「ううん、どうかしら」
「学生時代そうしてスポーツをしてると違うのよ」
「体力が、よね」
「そうよ。体力が違うのよ」
まさにそうだというのだ。
「里香ちゃんってずっと運動してこなかったけれどね」
「それでも」
「中学の時実際にどうしようって思ってたの」
今だから明かされることだった。
「運動の習いごともどうかしらって」
「野球?」
「野球って何でそうなるのよ」
「だってお母さんも野球好きだから」
「阪神が好きなのよ」
確かに野球も嫌いではないが第一にそれだというのだ。
「何なら里香ちゃん阪神に入る?もう女の子でも入団できるわよ」
「私も阪神は好きだけれど」
それでもだとだ。里香は今は困った笑顔になって母に話した。
「プロなんてとても」
「じゃあドクターとして入る?」
「それならいけるかも知れないけれど」
「とにかく。まずは体力なの」
何につけても最初はそれだというのだ。
「だからスイミングスルールとかどうかしらって思ってたけれどね」
「えっ、スイミングスクール!?」
「ええ、そうよ」
「ちょっと。水泳は」
里香は母の今の言葉には貌を曇らせてこう答えた。
「悪いけれど」
「お肌見せたくないのに」
「水着だから」
その曇った顔での言葉だ。
「身体のライン全部見えるから」
「そうね。特にスイミングスクールだとね」
「競泳水着って一番出るから」
だからだというのだ。
「一番恥ずかしいから」
「だからっていうのね」
「うん、遠慮したいけれど」
「里香ちゃん水泳の授業も嫌がるわよね」
「恥ずかしいから」
理由はそれに尽きた。実際に貌を赤くさせている。
「スイミングスクールはね」
「じゃあ空手とかは」
「空手もちょっと」
「護身用にいいから。丁度町に空手道場もあるからね」
そこで教えているのは言うまでもない。
「どうかしらって思ったけれど」
「空手も」
「里香ちゃんに合わないかしら」
「自分ではそう思うけれど」
「それでも護身用にはいいから」
空手の上級者はそれだけで凶器を持っているに等しいとさえ言われる。
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