第十四話 成果その四
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「褒めてくれるけれど」
「それでもなの」
「子供の頃からどうしても慣れないの」
貌を赤くさせてこう言う。
「どうしてもね」
「そうなのね。けれどね」
「けれど?」
「そういうのも里香ちゃんらしいね」
琴乃はにこりとして里香にこうも言った。
「控えめっていうのかね」
「そうかしら」
「そうよ。あっ、今は褒めてないから」
恥ずかしがり屋の里香をい気遣っての言葉だ。
「だから安心してね」
「そうなのね」
「うん、とにかくね」
琴乃は断ってからあらためて言う。
「里香ちゃんもその成績だと医学部行けるんじゃないの?」
「八条大学医学部の偏差値は七十オーバーよ」
ここでまた彩夏が言う。
「八条大学で一番難しい学部よ」
「そうなの」
「八条大学の学部って全部五十五から六十五だけれどね」
学部によっては高い学部もあるというのだ。
「医学部と法学部は高いのよ」
「その二つの学部はなのね」
「どっちも七十よ」
それだけのレベルだというのだ。
「ちょっとやそっとじゃね」
「そういえば八条大学の法学部からキャリアになる人もいるのよね」
琴乃はこのことも思い出した。
「そうよね」
「それだけのレベルなのよ」
「ということなのね」
「そう。それで医学部はね」
彩夏は医学部の話を続ける。
「里香ちゃんの成績ならいけるわよ」
「大丈夫なの?」
「ええ、いけるわ」
彩夏はにこりとして里香にも言う。
「安心していけるわ」
「だったらこのまま」
「そう、努力していってね」
「お父さんとお母さんみたいなお医者さんになりたいの」
里香の言葉は切実なものだった。
「特にお母さんみたいなね」
「東映の科学者みたいにはならないんだな」
「マッドサイエンティスト?」
「そういうのにはならないんだな」
「あれも楽しそうだけれど」
里香も美優の冗談に乗って笑顔で話す。
「私そういうのはね」
「ならないんだな」
「普通のお医者さんになりたいから」
マッドサイエンティストではなく、だというのだ。
「だからね」
「だよな。普通のお医者さんだよな」
「内科医なの」
なりたい医者はそれだというのだ。
「それを目指してるの」
「だったらお薬頂戴ね」
琴乃も話に乗って言う。
「風邪になったらね」
「うん、ただ風邪はね」
「風邪はって?」
「罹ったら仕方ないけれど」
それでもだというのだ。
「罹らない様にすることが大事よ」
「よくそう言われるわよね」
「まずは健康管理」
第一にそれだというのだ。
「それをしてからよ」
「それからなのね」
「そう、身体をいつも温かくして身体にいいものを食べて適度な運動もいつもする」
まさに医者の言葉だった。
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