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とある星の力を使いし者
第15話
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方法だ。
これだけ苦しんでいて、これだけ我慢を続けてきた女の子の前で、それを取り上げるだなんて、できるはずがなかった。
上条は本棚に背中を預けて呆然という。

「これだけの右手を持っていて、神様の奇跡(システム)でも殺せるくせに。
 どうして、たった一人の・・・・苦しんでいる女の子を助ける事もできねーのかな。」

笑っていた、ただ己の無力さを噛み締めて。

「儀式を行うのに午前零時十五分まで、一〇分ほど時間が余っていますね。」

突然、神裂が言い出すとステイルは信じられないものでも見るかのように、ステイルは神裂を睨みつける。

「私達が初めてあの子の記憶を消すと誓った夜は、一晩中あの子の側で泣きじゃくっていました。
 そうでしょう、ステイル?」

「だ、だが、今のコイツは何をするか分からないんだ。
 僕達が目を離した隙に心中でも図られたらどうする?」

「それならさっさと十字架を触れていると思いませんか?
 彼がまだ「人間」だと確信していたからこそ、貴方も偽物(フェイク)ではなく本物の十字架を使って試したのでしょう?」

「しかし・・・・」

「どの道、時が満ちるまで儀式は行えません。
 ここで彼の未練を残しておけば、儀式の途中で妨害に入る危険性が残りますよ、ステイル。」

ステイルは奥歯を噛みしめて獣のように上条の喉を食い破ろうとする己を抑えつけて。

「一〇分間だ、良いな!?」

きびすを返してアパートを出て、神裂も何も言わずにステイルに続いて部屋を出たがその目はとても辛そうに笑っていた。
インデックスが命を削って作った一〇分間を、一体どうすればいいか上条は全く分からなかった。

「けどさ、こんな最悪な終わり方って、ないよな。」

上条は何もできない自分がひどく悔しかった。
インデックスの脳の八五%を占める一〇万三〇〇〇冊の知識をどうにかする事も。
残る十五%の「思い出」も守り抜く事だって。

「・・・・あれ?」

そこまで絶望的な考えを巡らされていた上条はある違和感を感じ取った。
その違和感は疑問に変わると上条は部屋の隅にある黒電話に飛びつくとある電話番号にかける。
小萌先生の携帯ではなく麻生の携帯電話に。







十二時五分になった。
本人は気づいていないようだが麻生は少し残念そうな顔をしていた。
上条があんな幻想に負けた事が残念だと思っているのかどうかはそれは本人でも分からない。

(何を俺は期待していたんだ。
 元々、これは全くの他人が引き起こした騒動だ。
 俺がわざわざ関わる必要もない。)

そう思いひと眠りでもしようとした時、麻生の携帯が部屋中に鳴り響く。
画面には知らない電話番号が表示されていたが麻生は通話ボタ
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