第15話
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に頼らなくっても済むかもしれねーんだよ!」
「・・・・・」
「お前達だってこんな方法取りたかねーんだろ?
心の底の底じゃ他の方法はありませんかってお祈りしてんだろ!
だったら少し待ってくれ!
俺が必ず誰もが笑って誰もが幸福な結末を探し出してみせるから!
だから・・・!?」
「・・・・・」
ステイル=マズヌスは一言も告げない。
上条もどうして自分がそこまでするか分からないがあの笑顔が、あの仕草が、もう二度と自分に向けられる事がないと、この一週間の思い出が他人の手によってリセットボタンを押すように軽々と真っ白に消されてしまうといちばん優しい部分が、痛みを発した。
そして沈黙が支配する。
上条は恐る恐る魔術師の顔を見る。
「言いたい事はそれだけか。出来損ないの独善者が。」
そうして、ルーンの魔術師、ステイル=マグヌスが放った言葉はそれだけだった。
「見ろ。」
ステイルは何かを指さしたが上条がそちらへ視線を移す前に、ステイルは勢い良く上条の髪の毛を掴んだ。
「見ろ!!君はこの子前で同じ台詞が言えるのか?
こんな死人の一秒前みたいな人間に!
激痛でもう目が開ける事もできない病人に!
ちょっと試したい事があるからそのまま待ってろなんて言えるのか!!」
インデックスの指がもぞもぞと動いていた。
動かない手を必死に動かし上条の顔に触れようとしている。
まるで魔術師に髪を掴まれた上条の事を、必死に守ろうとしている。
「だったら君はもう人間じゃない!
今のこの子を前に、試した事もない薬を打って顔も名前も分からない医者どもにこの子の身体を好き勝手にいじらせ、薬漬けにする事を良しとするなんて、そんなものは人間の考えじゃない!!
答えろ、能力者。
君はまだ人間か、それとも人間を捨てたバケモノなのか!?」
上条は答えられない。
ステイルはポケットの中からほんの小さな十字架のついたネックレスを取り出した。
「これはあの子の記憶を殺すのに必要な道具だ。
推察通り、「魔術」の一品だよ。
君の右手で触れれば、僕の「魔女狩りの王」と同様、触れるだけで力を失うはずだ。
だが、消せるか、能力者?
この子の前で、これだけ苦しんでいる女の子の前で、取り上げることが出来るのか!
そんなに自分の力を信じているのなら消してみろ、能力者気取りの異常者が!」
上条は、見る。
インデックスの言う通り、これさえ奪ってしまえばインデックスの記憶の消去を止められる。
上条は震える右手を岩のように硬く握りしめて、けれど、できなかった。
この魔術は「とりあえず」安全かつ確実にインデックスを救う事ができる唯一の
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