第十三話 テストの結果その八
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その少女がむくれた顔で言ってきたのだ。
「どれだけ歌われますか?」
「あれっ、あんたって」
琴乃がその少女の貌を見てふと気付いて言った。
「何処かで会ってない?」
「いつもこの店で働いているけれど」
「ああ、だからなのね」
「ここ私のお家のお店だから」
それでいつもここで働いているというのだ。
「お小遣い稼ぐのと一緒にね」
「働いているのね」
「そうよ。あとね」
「あとって?」
「買ってく?ベイスターズのグッズ」
カウンターの上にバイスターズのメガホンなり帽子なりをどんどん出してくる。見れば種類も量も結構な数である。
「チーム公認だけれど」
「阪神はあるの?」
「あるわよ」
少女は言いながら阪神のメガホンや帽子も出してきた。
「買う?巨人以外はあるから」
「パリーグもあるのね」
「勿論よ。とにかくね」
「とにかくって?」
「ベイスターズの悪口言うと料金倍にするわよ」
その怒った顔での言葉だった。
「容赦しないわよ」
「容赦しないって」
「とにかくね。何時間なの?」
少女は琴乃達にむっとした顔のまま再び問うた。
「フリータイムだと九百八十円よ。フリードリンクでね」
「お酒もあるわよね」
「勿論よ。好きなの選んで」
それもいいというのだ。
「お酒の方もね」
「どうする?」
琴乃は店の少女の説明を聞いたうえで四人に貌を向けて意見を問うた。
「ここは」
「やっぱりフリータイムでしょ」
彩夏がにこりとしてそれだと言った。
「ここはね」
「フリータイムね」
「幾らでも飲めるから元取れるわよ」
実に率直な言葉だった。
「だからそれにしましょう」
「そうね。それじゃあ」
他の三人も笑顔で頷く。これで決まりだった。
琴乃は五人を代表してこう言った。
「フリータイム五人でお願いします」
「学生さんはワリカンでね」
少女はそれぞれ千円を出す五人にこうも言った。
「それも今現金払いよ」
「入店の時にワリカンなの」
「うちのお店の決まりだから宜しくね」
「ええ、わかったわ」
「じゃあお金払って。追加オーダーのお金は帰る時ね」
「追加オーダーね」
琴乃はカウンターの上のオーダーを見た。そこには色々と書いてあった。
その中でお楽しみメニューを見たがすぐに景子が横に来て言ってきた。
「ちょっとそれは」
「お楽しみメニュー駄目?」
「今日は駄目よ」
こう言って琴乃を止めるのである。
「絶対にね」
「何でなの?」
「とりあえずお部屋に入ってから話すから」
今話せないことだというのだ。
「だからまずは入りましょう」
「うん、それじゃあ」
「ったく。本当によく打たれるわね」
少女は五人からお金を受け取りおつりを返して
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