第十二話 来てくれた人その八
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「本当に自然にね」
「ヤクザ屋さんが自然に」
「出入りするの」
「それってかなり怖いだろ」
「そうよね」
「前に話したかも知れないけれどお寺も教会もね」
キリスト教でも天理教でもだというのだ。
「ヤクザ屋さんの信者さんだっているし寄付もしてくれるし」
「じゃあ神社にも?」
「お布施出してくれるのね」
「オフレコよ」
景子のその顔が何時になく真剣なものになった、そしてその顔で真剣な声でこう四人にこう言うのだった。
「いいわね」
「おい、シリアスになったな」
美優がその景子に突っ込みを入れる。
「それだけやばい話なんだな」
「そうよ。ヤクザ屋さんからのお布施ってね」
「どんなのだよ」
「凄く多いのよ」
その額がだというのだ。
「もうかなりの」
「それどうやって儲けたお金なんだろうな」
「考えないようにしてるの」
あえてそうしていることは言うまでもない。
「どうしたかはね」
「やばい話だな」
「今はこうした話はないけれど」
景子はさらに話す。
「昔は神社の境内とかでお話するのよ」
「境内で?」
「それも普通のお話じゃなくて」
何をするかというと。
「ストリップショーやったり賭場を開いたり」
「あっ、そうなのね」
里香は景子の今の話に納得したといった顔でしきりに頷いた。
「それでご開帳っていうのね」
「そう。境内とかご本尊の前で博打をしたから」
やくざが開いてそうしていた。
「京都じゃお公家さんのお屋敷でもしてたらしいし」
「それはその通りよ」
京都にルーツがある里香も認めることだった。
「だからお公家さんって実際は滅茶苦茶怖かったのよ」
「子供の頃からヤクザ屋さんと付き合いがあるからよね」
「岩倉さんとかね」
言わずと知れた明治の功労者の一人だ。稀代の陰謀家としても有名だ。
「凄かったのよ」
「そんなに怖かったのね」
「そう。言葉遣いもいざとなったら」
喧嘩等になりそうになるとだというのだ。
「もう完全にね」
「ヤクザ屋さんだったのね」
「そうだったみたいよ」
里香は琴乃に顔を向けて話す。
「あの人はね」
「イメージと全然違うな」
美優は里香から岩倉の話を聞いてこう言った。
「本当にな」
「そうでしょ。私も最初ここのことを聞いてね」
「驚いたか」
「かなりね」
「まあそうだよな」
美優もこう言って里香の言葉に頷く。そして景子はさらにそのヤクザについて四人にこう話したのだった。
「それでお寺とかもね」
「ヤクザ屋さんとよね」
「関係あるのね」
「映画会社もだったし」
その世界もそうだったというのだ。
「芸能界とかね」
「時々そんな話が出るわよね」
彩夏がここで言った。
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