第十二話 来てくれた人その二
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「狩猟もするから」
「じゃあ弓もよね」
「モンゴル人が大帝国を築けたのはこの二つのお陰なの」
「馬と弓ね」
「そう、とはいっても確かに羊をそのまま連れてて食べるものにも困らなかったけれど」
このことが一番大きい。モンゴル帝国軍は食料をそのまま連れて進軍していたのだ、それはかなり大きい。
しかもそれだけではない、モンゴルといえばなのだ。
「皆生まれた頃から馬に乗ってたの」
「生まれた頃から?」
「あっ、歩けるようになったらね」
もうその時にはだというのだ。
「馬に乗っていたのよ」
「それ本当?」
「モンゴル人の足は四本っていう言葉がある位でね」
「ああ、馬の足ね」
「それ位子供の頃から皆いつも馬に乗ってるのよ」
騎馬の民という言葉は伊達ではない、モンゴル人は他のどの国の人間よりも馬に親しんできているのだ。
「それこそ鞍や鐙、手綱がなくてもね」
「乗れるのね」
「そこまで馬に親しんでるのよ」
「だからなのね」
ここまで聞いて頷く彩夏だった。
「馬については随一なのね」
「そう。それに弓も子供の頃から使ってるから」
「凄く上手なのね」
「確かにモンゴル人ならね」
里香も言う。
「大丈夫かもね」
「今のモンゴル人でもかよ」
「まだ昔ながらの遊牧生活をしている人も多いらしいし」
確かに都会に定住するモンゴル人も増えてはいるがだ。
「だからね」
「いるかも知れないんだな」
「多分いると思うわ」
里香は今度は美優に答える。
「確かなことは言えないけれど」
「そうか。じゃあ相撲部屋にでも行ってスカウトするか」
「あっ、モンゴルの力士の人達も馬に乗れる人も多いと思うけれど」
景子が美優の今の言葉に言う。
「ちょっとね」
「無理か?」
「馬に乗れてもそこまでかどうか」
「それに弓か」
「力士の人ならそれに専念するわよね」
「まあそうなるな」
「だったらね」
それでだというのだ。
「無理だと思うわ」
「そうか」
「力士の人もそれはそれで神事に関係あるけれど」
「ああ、そうだよな」
「そう。お相撲は元々神様に関係する行事だし」
邪気だの鬼だのをその強さで祓うという意味もあるという。角界はそうした意味で神社と関係が深い世界なのだ。
「だからね」
「そっちでやってもらうんだな」
「うちの神社も参加するけれど八条神社ってお相撲の大会も開くから」
「色々やってる神社だな」
「結構忙しい神社よ」
それが八条神社だというのだ。
「何かっていうと色々やってるから」
「初詣と流鏑馬だけじゃないんだな」
「そうなの。行事の多い神社だから」
「力士さんも来るんだな」
「そういうこと。後ね」
「後?」
「お寺とも関係が深いから」
宗教を超えて
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