第十一話 流鏑馬その五
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それで里香はこう言うのだった。
「ちょっとね」
「無理なのね」
「伸びる人は伸びるけれど」
「私はどうかしら」
「彩夏ちゃんのお母さん達はどうなの?」
「お父さんもお兄ちゃんも一七〇あるけれど」
「そうなの」
「お母さんは一六〇ちっきりなの」
母親の身長も話す。
「それで私お母さんにそっくりだけれど」
「そっくりなのね」
「じゃあ無理かしら」
「ううん、そうね」
里香は遺伝のことも話す。メンデルの法則でもあるが遺伝というものはどうしても関係するものである。
「牛乳をしっかり飲めばひょっとして」
「ひょっとしてなの」
「背が伸びるかも知れないわね」
「知れない、なのね」
「私もそうだけれど一六〇っていうと」
これは美優以外の四人共だ。里香も同じだけだ。
「微妙よね」
「高くもなければ低くもないわよね」
「そうなのよね」
「私もそんな感じだけれどもっと高くなりたいのよ」
「もう五センチなのね」
「そう、五センチ」
これだけ欲しいというのだ。
「一六五ね」
「一六五って結構高いわよね」
「だからそれだけ欲しいの」
彩夏の言葉は切実なものになっている。
「頑張ってみようかしら」
「動物性蛋白質と適度な運動だけれど」
「だから牛乳がいいのね」
「菜食主義もいいけれど体格にはあまりよくないかも知れないわね」
こうも考える里香だった。
「実際昔の日本人って背が低かったから」
「そんなに低かったの?」
「平均身長が一五四位だったらしいわ」
「男の人でも?」
「そう、男の人でもね」
それ位しかなかったというのだ。
「私達より低かったのよ」
「無茶苦茶低くない?」
「だから動物性蛋白質が殆どなかったから」
無論牛乳もだ。牛乳が飲まれる様になったのは明治時代からだ。
「小柄だったのよ」
「そうだったのね」
「それでも暴れん坊将軍は一八〇あったらしいけれど」
徳川吉宗のことだ。八代将軍であり江戸幕府中興の祖と言われている。
「この人は特別ね」
「一八〇って」
「大きいでしょ」
「平均身長が一五四よね」
「そう、これは幕末のお話だけれど」
吉宗は中期の人間だ。百年位の時間の差があるがそれでもだというのだ。
「江戸時代の人としてはね」
「大きいわよね」
「それもかなりね」
「そういえばよね」
ここで言ってきたのは琴乃だった。
「西郷さんも大きかったのよね」
「一七八あったそうよ」
「今でも結構大きいわよね」
「大久保利通が一七七でね」
「大久保さんも大きかったのね」
「そうなの。ところで琴乃ちゃんって」
里香は彼女の言葉からあることに気付いた、それはというと。
「ひょっとして鹿児島の人?」
「父方のお祖父ちゃんが
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