第十話 五月その十一
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「というかちゃらちゃらしない方がいいのよ」
「巫女さんだからよね」
「そうよ。巫女さんはね」
その巫女の言葉である。
「着飾らなくて」
「質素なのね」
「質素というかありのままね」
そちらになるというのだ。
「お化粧をしてもいいけれど」
「薄いメイクね」
「そう、ナチュラルメイク」
それになるというのだ。
「私も今それしてるから」
「そういえばそうね」
「ナチュラルメイクもいいものよ」
景子は微笑んでこう琴乃に言う。
「すぐに終わるしそれでいてね」
「奇麗になるから」
「私このメイクが好きだし」
「だから余計になの」
「そう。巫女がいいなって思ってるの」
「そういえば景子ちゃんの巫女さん姿かなり似合ってるわ」
「有り難う。けれど巫女さんならね」
「巫女さんなら?」
「実は誰でもなれるから」
今言う事実だった。とはいっても衝撃的なものではない。
「アルバイトで採用されたら」
「何か有り難味が」
「そんなものよ。身なりさえ清潔ならいいから」
「それで終わりなの」
「髪は染めない方がよくて」
つまり別に染めても構わないということでもある。
「アクセサリーもつけない」
「それでナチュラルメイクね」
「そう、後はいつも清潔ね」
「基本的な条件よね」
「そうでしょ。そういうのさえ満たしていれば巫女さんになれるから」
「じゃあ私もなの」
「そう、なれるけれどどう?」
景子は微笑みのまま琴乃に話す。
「アルバイト料は安いけれど」
「ううん、実は巫女さんの服って」
琴乃はその景子の横を進みながら腕を組んで述べる。
「好きなのよ」
「女の子の憧れよね」
「あれってちょっと凄くない?」
こうまで言う琴乃だった。
「男の子が言うには萌えね」
「巫女萌えね」
「清楚萌えっていうのかしら」
「あと袴ね」
このオプションも重要だった。その萌えというものは奥が深く何に対して萌えるかでその人のこだわりと造詣の深さがあるのだ。
「白と赤の配色もね」
「大事よね」
「ううん、二つの配色ね」
「白と赤ってシンプルだけれどいいでしょ」
「あの配色がいいのよね」
琴乃は腕を組んだまま言っていく。
「私も前に一回着させてもらったけれど」
「私のお家に皆で来た時に皆で来たでしょ」
「うん、あの時ね」
「よかったでしょ。実際に来てみて」
「皆似合ってたわよね」
「美優ちゃんの脚が長くてサイズに困ったのよね」
景子もあの時のことを思い出して笑顔で琴乃に話す。廊下を二人で並んで歩いて進みながらこうした話に興じていた。
「あの娘脚長いから」
「背も高いしね」
「袴っていうか日本人って元々は脚が短いから」
「昔はそうだったらしいわね」
「そう、短かっ
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