第九話 春の鍋その七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「お味噌の方が」
「私も。お味噌大好きだし」
琴乃も味噌で賛成した。しかし琴乃はここで里香に対してこう言った。
「けれど雑炊の時はお味噌って」
「かなり使うっていうのね」
「うん、それでもいいの?」
「確かに雑炊ってお味噌かなり使うけれどね」
御飯に味をつける為どうしてもそうなってしまう。使う量には個人の好みが関わるので一概に言えないが味噌汁に使うのよりも多くなる傾向がある。
「それでも。お味噌は」
「好きなの」
「そうなの。大好きだから」
里香も味噌が好きだった。それでこう言う。
「うち毎朝お味噌汁なの」
「あっ、朝は和食なの」
「お母さんが好きだから」
それでだというのだ。
「朝はお味噌汁がないと駄目って」
「里香ちゃんのお母さんいつもそう言ってるのね」
「御飯は食べなくてもお味噌汁は飲みなさいって」
「そこまで言われるの」
「そうなの。だから私もね」
味噌はだというのだ。
「大好きなのよ」
「そういうことね」
「お味噌って美味しいだけじゃないから」
「身体にもいいわよね」
「まさに万能の調味料よ」
醤油と共に和食を形成するものだ。味噌と醤油なくして和食は成り立たないと言ってもいい程のものなのだ。
里香はその味噌だからだとさらに言う。
「卵も捨て難いけれど」
「ここはお味噌なのね」
「そう、雑炊もお味噌がいいわ」
例え塩分が濃くともそれだけの価値はあるというのだ。四人の考えはここでも一致した。
それで鍋の中の御飯に味噌が入れられる。それをゆっくりと溶かしてから刻み海苔を上からかける。
椀の中にそれを入れてから食べる。まずは里香が言う。
「そうそう。これがね」
「里香ちゃんの好きな雑炊なんだな」
「そうなの。お味噌がとにかく好きで」
「味噌な。確かにいいよな」
「身体にもいいし。そういえば」
ここで里香は美優にこんなことも言った。
「お味噌っていっても色々よね」
「ああ、そうだよな」
美優は里香のその言葉に頷いてその味噌の種類について出した。
「白味噌に赤味噌にな」
「関西のお味噌って薄口よね」
「京都は甘いんだよな」
「それで名古屋の赤味噌って八丁味噌でな」
「味が濃いのよね」
名古屋はまさに味噌の国だ。まず味噌、その八丁味噌がないとはじまらない場所であることは里香達もよく知っている。それで里香はこうも言う。
「味噌カツとかね」
「あれな」
「あれも美味しいわよね」
「あれっ、里香ちゃんって名古屋にも?」
「親戚がいるから」
それでだと琴乃に答える。その雑炊を食べながら。
「それで時々行くの」
「味噌カツに味噌煮込みうどんに?」
「海老フライにもつけるのよ」
「それにもなの」
「とにかくお味噌なの」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ