第九話 春の鍋その五
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「すき焼きにもステーキにも使えるじゃない」
「確かにね」
「それだけで充分よ」
「牛肉なら」
「そうそう。牛肉はね」
二人で何気に牛肉信仰を見せていた。美優はその二人の話を聞いて少し苦笑いになってそれでこうしたことを言った。
「まあ牛肉でなくてもさ」
「鶏肉もよね」
「そっちも」
「美味いからな」
こう言うのだった。
「鶏肉には鶏肉のよさがあるからさ」
「うん、それはわかってるから」
「鶏肉も大好きだから」
好き嫌いは非常に少ない二人だった。そしてそれは里香と彩夏も同じでこう話すのだった。
「鶏肉はお料理の仕方で変わるわよね」
「他のお肉と比べてもね」
「カロリーを多くすることも低くすることもできるし」
「味付けとかもね」
「だろ?鶏肉って癖が弱いからさ」
だからだと二人にも応える美優だった。
「あたしも欲料理に使うんだよ」
「しかも身体にもいい」
「安いし」
「三拍子だからな」
美優が最も重要視するその三つが全てあるというのだ。
「だからだよ。あっ、牛肉もよく使うよ」
「やっぱり牛肉もなのね」
「そっちもなのね」
琴乃と景子は美優の今の言葉に頷く。五人はもうテーブルに着きそのうえでそれぞれ鍋の中に具を入れていっている。
鍋の中には最初は昆布があったがそれは出され野菜や鶏肉が入れられ次々と炊かれていっていた。
そしてそれを見ながら話していた。美優も箸で糸こんにゃくを入れながら笑顔で言う。
「牛肉だとあれだよな」
「すき焼き?」
「それ?」
「個人的に一番好きなのはステーキなんだよ」
「ステーキなの」
「それが一番好きなの」
「輸入肉の分厚いのをレアで焼いてさ」
如何にもという食べ方だった。
「それにソースかけてな」
「ワイルドねえ」
「いい食べ方じゃない」
だろ?それがいいんだよ」
美優は糸こんにゃくを入れ終えてからも言う。
「まあすき焼きもいいけれどな」
「すき焼きはあれよね」
ここで言ったのは彩夏だった。
「お砂糖をどっさりと入れてお醤油もね」
「どっさり?」
応えたのは里香だった。二人共ぽん酢を入れたそれぞれのお椀の中に葱や白菜、そして鶏肉を入れていっている。
入れながらそうして話しているのだ。
「どっさり入れるの」
「すき焼きだったらそうしないと駄目でしょ」
「それはそうだけれど。ただ」
「濃くならない様に?」
「それにお醤油もね」
それ自体もどうかと言う里香だった。
「薄口醤油よね」
「それはね。ただどうしてもやっぱり」
彩夏の場合はすき焼きを作ってもだった。
「里香ちゃんから見ると多分だけれど」
「入れ過ぎ?」
「そう、入れ過ぎになってると思うわ」
すき焼きでも里香と彩夏の味付けの
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