第八話 それぞれの家でその七
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そうしたものを見てそうして言うのだった。
「ううん、ちょっと意外ね」
「アラビア風っていうのか」
「飾ってあるのもそうだし」
「お皿もかよ」
「あれなの。お父さん仕事で結構あの辺りに行くのよ」
彩夏は何故自分の家がアラビア風なのかを話した。
「トルコとかエジプトね」
「けれどこれペルシャ絨毯よね」
「ええ、そうよ」
琴乃がその絨毯、赤と茶色、それに白の三色を丁寧に独特の模様で絡み合わせたそれを見ている。彩夏はその琴乃に答えた。
「それはね」
「ペルシャっていったらイランよね」
かつては実際にペルシャという国名だった。それを改名したのだ。
「やっぱり」
「そうよ。お父さんそれエジプトで貰ったのよ」
「貰ったの」
「取引先のあちらのお金持ちの人にお礼だって」
それでだというのだ。
「貰ったの」
「こんな凄いのを」
「そう、貰ったの」
貰ったものだと聞いて驚く琴乃への言葉だった。
「そうしたの。ただね」
「ただ?」
「これ一番安い絨毯らしいのよ」
「えっ、如何にも高そうだけれど」
「その人が持ってる中では一番安いものだったのよ」
彩夏はそうした意味でこの絨毯は一番安いものだというのだ。元の持ち主が持っていたその中では、という意味においてだ。
「これでね」
「これ絶対高いわよ」
里香も絨毯をまじまじと見ている。
「模様もいいし生地もいいし」
「まあそうだけれどね」
「普通の人が買えない位に」
「どれだけするのか怖くて聞けないのよ」
彩夏もその絨毯を見て言う。
「お父さんにもお母さんにもね」
「これ一枚でこのお家建つと思うわ」
里香は真顔でこう言った。その絨毯をわざわざ撫でながら。
「だって。ペルシャ絨毯の中でも」
「とりわけよね」
「生地がいいから」
それでだというのだ。
「ううん、こんないい絨毯あるなんて」
「カタールとかクウェートとかだともっといい絨毯あるらしいわよ」
「これで一番安いって聞いたけれど」
「あの辺りって石油出るじゃない」
このことが重要だった。石油はまさに富そのものだ。
「そこの石油王とかにとって絨毯ってわざわざ買うものじゃないのよ」
「あの辺りってお金持ちって聞いたけど」
「その桁が違うから」
伊達に石油王ではない。その富は世界でも屈指のものだ。
そしてその富を持つ彼等なら絨毯もだというのだ。
「献上されるか。特別に作らせるか」
「こんなものじゃないのね」
「そう。凄いらしいから」
「あの辺りの石油王はまた別格なのね」
「他にサウジアラビアもね」
この国の名前も出る。
「凄いらしいわ」
「あそこも石油出るからよね」
「エジプトは観光はあるけれどね」
古代からのそれがある。ファラオ
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